（カクヨムコン９応募予定）彼女NTRが発生したので悲しみの中で寝たら過去に戻ってしまったんだが

第2話 ワトソンとホームズ

タイムスリップした。

いきなり何を言ってんだお前は、と思うかもしれないが。

これは事実である。

２年前にタイムスリップしたのだ。

全ての光景が.....２年前になっている。

「.....」

何というか.....。

俺は中学に通っている事になっているが。

実際は高校２年生だった。

だけど今は中学生に戻ってしまった様だ。

俺は外を見る。

卒業したまま。

当たり前だが２年前の景色そのままである。

ここから見渡せば俺が通っていた筈の高校、北高が見える。

俺はその景色を不思議そうに眺めながら。

欠伸をして伸びをした。

そうしたら視界が消える。

「誰でしょう？」

「.....山田愛（やまだめぐみ）」

「まともに答えるとかアホかね君は。楽しくない」

「お前が馬鹿か」

そんな言葉を発しながら俺は愛を見る。

長い黒髪にベレー帽を模した髪留めを着けている。

顔立ちも小さいモテる美少女。

高校になってからはコイツは外国に行ってしまう。

だけど今は違う。

「バカとは失礼だね。君は」

「いやいや。そんな簡単なクイズ。誰でも答えれる」

「謎は深まる事が楽しいのだよ。ワトソンくん。まともに答えたらクソッタレだよね？」

「お前.....暴言が.....」

「ふむ。クソッタレはクソッタレだよね？」

「.....」

ワトソンとかを言う割に.....暴言がすぎる。

昔と何らかわ.....今が昔か。

思いながら俺は苦笑いを浮かべながら愛を見る。

すると愛は、時に、と言い出す。

「友人として放課後に付き合う気はあるかね」

「友人としてどこに付き合うって？」

「推理ゲームが買いたいのだよ。ワトソンくん」

「そうか。.....まあ付き合おうじゃないか」

「.....へ？」

何が、へ？、だ？

考えながらホームズを見る。

するとホームズは、い、いや。女子にそんな簡単に良しと言うのは珍しくてね、と俺を見てくるホームズ。

何だコイツ？そんなに珍しいか？

「君はあくまで『美奈保ー』的な感じだったじゃないか」

「.....ああ。それか。もう止めたんだ。身の為にならないってね」

「そうか.....それは.....」

だ、だったら私にもチャンスが、と言った気がしたホームズを見る。

何を言ったんだ？聞こえなかったぞ。

思いながらホームズに、何を言った、と聞いたが。

内緒に決まっているだろうワトソンくん、と言われた。

聞くんじゃないよボケ、と言いながら。

「だからお前は暴言が.....」

「暴言じゃないっての。ワトソンくんや」

「いやそれ暴言だけどな」

「う、うるさい」

何を言ったんだよ、と問い詰めるが。

ホームズは答えなかった。

それから、じゃ、じゃあね、と去って行くホームズ。

ったく何だったんだ、と思いながら。

俺は、トイレ行くか.....、と思い立ち上がる。

「.....ん？トイレはこっちだったっけ？」

２年前の中学の構造を忘れるなんてな。

思いながら俺はトイレにようやっと行き着いてから。

そのままトイレを済ませてから表に出ると.....後輩が立っていた。

後輩の長富廻（ながとみめぐる）だ。

無表情ながらもそれなりの美少女である。

銀髪をしているサファイアの目をしているハーフの少女だが.....まさか長富にも再会できるとはな。

長富は中学を卒業してから早々に引っ越したから。

「長富。どうした？」

「.....久々ですね。先輩」

「.....？.....久々ってのは何だ？お前には既に今、会っているじゃないか」

「そうですかね。約２年ぶりです」

「.....待て。長富。何を言っている。俺はお前とはずっと.....」

それは.....何というか。その。（今）の話ではないです、と長富は俺を見てくる。

サファイアの吸い込まれそうな瞳を見る。

俺はビクッとしながら、え？、と思う。

そして長富を見るが。

長富は、では、と言って去って行った。

待て！長富！、と声をかけるが。

彼女は人に紛れて去って行ってしまった。

「.....まさかな。.....そんな訳ないか」

長富も記憶を持ってタイムスリップをしている？

そんな訳ないよな。

思いながら考える俺。

そして帰ろうと踵を返すと、勇気ー、と声がした。

顔を上げると美奈保がやって来ている。

笑顔で手を振りながら。

俺はその顔に一瞬だけ眉を顰めてから。

直ぐに首を振ってから反応する。

「ねえねえ。放課後って時間ある？」

「.....すまない。時間がない。放課後.....忙しくてな」

「あ、そうなんだ。どういう用事？」

「シャーロック・ホームズに付き合うんだ」

「へ？」

へ？、とまた声を発してから目をパチクリする美奈保。

俺はその様子を見ながら、戻ろう、と話す。

そして踵を返してからそのまま教室に戻った。

ちょ、待って！？、と慌てる美奈保を置いて、だ。