第3話
結婚は、していない。
この指輪は私を営業員としてではなく、女としか見てこない人たちを
欺くための必需品なのだ。
あーあ。
今日もこんな感じか。
するとラインの通知が鳴った。
『今日もお疲れ様!
ごめん、土曜日仕事してもいい?』
付き合って1年になる彼氏からの連絡だった。
私は既読をつけないまま内容だけを見て、携帯をしまう。
佐々木遥樹とは営業先で出会った。
恋に落ちるとはこういうことなのかと、まさに電流が走るような
衝撃的な出来事だった。
最初は仕事の話をして、連絡先を交換し、
ご飯を食べに行って、自然とそういう流れになった。
お互い28歳ということもあり、私は彼以上に結婚を意識していた。
世間一般で言う結婚適齢期にこんなにも素敵な男性と出会うなんて、
もう結婚するしかないと思っていた。
「俺、結婚は32歳くらいでいいかなあ」
遥樹は屈託のない笑顔を見せた。
今は仕事が大事なのだと言う。
それくらいの時期からだろうか。
仕事を理由に会えないことが多くなったのは。
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