無様! ハイシャイ・ラボ壊滅!(1)
作業員がふだんより多いのは、大勢の自衛隊員がいるせいだった。
科にもよるが、自衛隊といえば取得できる実用資格には定評がある。設備は既存の流通品なので、有資格者なら操作できるのだ。
もちろん
ふたりが乗り込み、【ゴダイヴァ】を吊っているクレーンが巻き上げられていく。
防御よりも動作の自由度を重視され、腰部装甲は引き続き除去されていた。追加バッテリーもそのままだ。
頭上では雲が青天を隠し始め、眼前の海はざわめいていた。
コクピットに通信が入った。横山だ。
『
ただ今回は、海上保安庁、陸上自衛隊との協力行動です。基本【ゴダイヴァ】は自動操縦ですが、指示があった場合は手動に切り替えてください。
また、最悪の事態になっても、後方に戦車部隊が待機しています。退避してもらう場合があるかもしれませんが、そのときは連絡します』
近隣住民の避難は完了している。
今回の守秘義務は自衛隊も絡む重大なものだ。
移動のコマンドを入力し終え、しばらくの沈黙の後、
「これが、四体目…………最後なんだな」
声にこもる切実さを感じ、
同乗者はくちびるを噛みしめ、思いつめた表情だった。
最初のロボットに、彼女の父は乗っていなかった。
では次は?
その次は?
――――いや、
乗っていれば、戦う相手は父。
乗っていなければ、父を探す手がかりは遠ざかる。
どちらの目が出ても、向かう先は
そんな戦いを、
「お父さんはきっと無事ですよ。必ず一緒に帰りましょう。
そしたら今夜はお祝いのパーティですね。プリン、食べ放題ですよ」
「
というと少しムッとして、
「だいじょうぶだ。キミ、心配しすぎだぞ」
強がるだけの余裕は出てきたようだ。
…………しかしふたりとも、
『
聞こえてますか? そこにいるの?』
予定どおり、放送設備を使って呼びかけを開始する美和。
このために、野外音楽イベントで使用する超大型のスピーカーを借りてきた。数百メートル先の【ジェイソン子】にはじゅうぶん届くはずだ。
もし
雲は見る見るうちに厚くなり、やがてポツポツと雨粒が落ちてきた。
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