汗顔! 上司と部下、一夜の過ち?(6)
造船所跡地近辺、
さて買ってきた朝食を、ふたり事務所で黙々と食べ、いよいよお待ちかねのデザートタイム……なのだが。
「何だこれは」
「カラメルが入っていないじゃないか」
「はぁ……すいません」
だって、それしか残ってなかったんだよう。
「カラメルが入っていないだと?
カラメルが入っていないプリンなんて……カラメルが入っていないプリンなんて……
まあいい」
ちょうどいいたとえを思いつかなかったらしい。
黙り込んだと思ったら、やおらフタをぺりぺりと
「農家の方が一生懸命作ったものを、粗末にはできないからな」
材料はそうでも、製品は工場でだと思いますよ?
あと、カラメルの入っていないプリンにもたまには優しくしてあげて?
食後のお茶(
「……そうだな。ここの案内くらいはしておいてもいいか」
ひと気のない廊下を、
一階で使っているのは、事務室、宿直室、給湯室、医務室、トイレ。
医務室の主であるなでこ先生は、まだ出勤していない。おとといも来ていなかったし、今日も欠勤だろう。
空き部屋ばかりの二階、三階はすっ飛ばし、もちろんエレベータなどないので階段を登って、次にふたりがやってきたのは最上階の四階だった。
「ここは、所長室」
中へは入らなかった。
「所長は海外出張中だ。帰所は未定だが、来週以降になる」
まあ、そんな偉い人に顔を合わせる機会も滅多にあるまい。
「ここが最後。コントロールルームだ」
と、連れてこられた扉の前。
部屋の中から、なにやら話し声が聞こえる。
「……へえー、これ、ビンタじゃなくって
「わたしが組んだやつですよ」
「最後の投げ技、一本背負いが変形したんだな」
「永井センパイの担当ですね」
会話の切れ間を待つようにドアをノックして、
「失礼します」
入室すると、デスクトップPCのディスプレイに見入っていた白衣の男女がふり返った。
「あ、
「おはようございます」
永井と横山だ。
「お邪魔してすみません。彼が、休みなのに出てきたので、ついでにここの案内をしているところです」
「いえ、こないだのログを見ていただけですから」
永井がキーを叩くと、画面はテキストの羅列から映像に切り替わった。【ゴダイヴァ】各所に設置されたカメラで撮影したものらしい。
カメラが【サダ子】に寄る。
戦闘終了後、残骸を回収する光景が映っていた。
それを見て、
「喜ぶがいい。キミにしてもらうことが見つかったぞ」
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