汗顔! 上司と部下、一夜の過ち?(2)
それから間もなく、
待っていたのは、
「全員そろいましたね。では出発しましょう」
同乗の
――――コントロールルームに案内されると、時期はずれのストーブが出迎えてくれた。濡れた服も干されていた。
ふつうに、部屋だ。壁を謎メーターが埋めつくしてもいないし、巨大なテーブルが立体映像を映し出してもいないし、信じられない高さの吹き抜けでもないし、そこをアームで支えられた座席がいったりきたりもしていない。
「どうぞ」と横山が差し出したのは、湯気の上る紙コップ。
受け取ったインスタントコーヒーをすすっていると、永井が唐突に話題を振ってきた。
「
「えっ……?」
「機能的分類では一軸性、二軸性、多軸性の三種類だけど、形状で見れば肘などの
こいつ、イケメンのくせして
「【ゴダイヴァ】はこれらの可動域をほぼ完全に再現しているんだ。つまり、人間とまったく同じ動きができるってことだよ。
ラジオ体操なんて序の口。あぐら、正座はもちろん、上半身をつけての体前屈、ヨガの
サイズの合うスケート靴さえあれば、ビールマン・スピンもね」
「その前に氷が割れると思いますけどね」と横山。笑顔がかわいい。
「へぇえ~」
「でも、どうしてそんなすごいロボットがここに?」
横山が答えた。
「近くの高台にショッピングモールがあるでしょう? あそこにテーマパークが建つ予定だったのは知ってます?」
「聞いたことはあります」
「【ゴダイヴァ】はそこのアトラクションとして造られたんです。
でも、テーマパークの計画自体が白紙になってしまって、うちが【ゴダイヴァ】を引き取ったんです」
「ところで」とふたたび永井。
「完成してからわかったんだが、【ゴダイヴァ】を動かすのに必要なエネルギーは、事前の見積もりを大幅に超過していた」
そこは完成する前に気づいてほしかった。
「……なにしろ立っているだけでもかなりの電力を消費するからね。固定アトラクションならケーブルで供給すればいいが、
それを解決するために搭載されたのが、【
「ちりょく……?」
「恥の力だよ。実際には感情全般が動力源となり得るが、恥の感情がいちばん効率的らしい」
横山が割って入った。「アニメとかでよくあるでしょう。感情が高まると変身できたり能力が使えたり、強くなったりするやつですよ。負の感情に
それってダメな例なのでは。
「恥ですか……。もっと、愛とか勇気のほうが絶対いいと思うんですけど」
ごもっとも。
――――現実に戻ればタクシーの車内。
ルームミラーに映る助手席の
目的地に着くまで、
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