陰キャボッチ、超電磁砲をぶっ放す
「す、すみません……本名をばらしてしまって」
「いやいや、こっちは命を助けてもらっただもん!これくらいであれば全然おつりがくるよ。それにしても私のクラスにこんな強い人がいたなんて……びっくりしちゃったよ」
「は、ははは……」
雨宮琴音。
アイドル顔負けの美貌に底抜けに明るい性格。
高校生としては驚異的な探索者としての実力に配信者として絶賛大人気の彼女は当然クラスの中心人物である。
それに対して陰キャオブ陰キャ。
陰キャ道を極める天津はコミュニケーションの分野で琴音にグイグイと押されていた。
「それにしても本当にありがとうね。出口まで護衛してもらっちゃって。ほ、本当に百階層まで行って転移門で戻ってくるので平気なの……?時間なんていくらでもかかっても平気よ?」
「別に、これくらいであればだいじょうぶですよ」
天津は心配そうな琴音の言葉に対して力強い言葉を返す。
「深層より下となるとかなりきついですが、百階層までなら……」
「えっ?新宿ダンジョンで百階層までじゃないの!?」
「えっ?知らなかったんですか?」
「し、知らなかった……そうだったんだ。というか割とこの情報大きいんじゃ……」
「別にそこまで重要じゃないで……っと。ちょっと奇襲してくるような魔物は怖いですね」
会話をしながらダンジョン内を歩く天津と琴音。
そんな最中に奇襲を仕掛けてきた魔物に向かって天津は
「あ、ありがと」
「……あっ!?触れてしまってすみません」
透明となって奇襲を仕掛けてきた魔物から琴音を守るために彼女の身を抱き寄せた天津は慌てて手を離す。
「い、いやいや、全然気にしないから大丈夫だよ!」
平謝りする天津に対して琴美は慌ててそう告げる。
「守ってもらっている立場なんだから文句なんてあっ!?」
琴美は言葉の途中で奥の方から迫ってくる魔物の大軍を見て声を引き攣らせる。
「ん?……あぁ、少しばかり多いですね」
絶望と言う他ない圧倒的な魔物の軍団が迫ってきている光景を前にしても一切動じることのない天津は気楽な様子で口を開く。
「あっ、ちょっと大きいの使いますね」
そして、天津は自身の巨大化する影へと手を突っ込み、中から巨大な超電磁砲を取り出す。
「ファイヤ」
天津が超電磁砲の引き金を引くとともに打ち出された巨大な砲弾は魔物たちを一瞬で消し飛ばし、ただの肉片へと変える。
「終わりです」
超電磁砲を再び影の中へと仕舞い、反動によって負った傷も一瞬にして癒した天津は琴美の方へと視線を送る。
「す、すっごーい」
天津から視線を送られた琴美は一瞬にして魔物を蹴散らした彼の強さにただただ呆気にとられることしか出来なかった。
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