陰キャボッチ、大人気美少女配信者を助ける
「……って、ひ、人!?な、なんでこんなところに人がいるの!?」
どこからか聞こえてきた少女の声を聞いて駆けつけてきた天津は魔物が光の粒子として消えた先にただの可愛らしい少女がいたこと
「ど、どういうこと……?こんなところに来れるのなんて吸血鬼とか龍人とかのような人外クラスじゃないと……普通の人間、それも僕のように特例ではなくただの弱い子にしか見えないけど……」
天津はぶつぶつと小さな声で独り言をつぶやきながら困惑をあらわにする。
今、彼がいるのは日本最難関ダンジョンの一つである新宿ダンジョンの深層。
決してここはただの人間風情が攻略できるような場所ではないのだ。
「……いっ」
「と、と、とぉ……?だ、大丈夫?怪我していない?痛いところあったら治すよ?」
困惑し続けていた天津は少女のうめき声を聞いてようやく我に帰って少女の方へと視線を向けて口を開き、手を伸ばす。
「あ、ありがとう……ございます。け、怪我に関しては大丈夫です」
少女は天津の手を取って立ち上がる。
「そ、それなら良かったです」
若干コミュ障気味な天津は少女から視線を少しだけ外して言葉を続ける。
「あ、ありがとうございます!わ、私……ここで助けてもらえていなかったら死んでいました!」
「い、いえいえ。人として当然のことをしたまでです。それにしても、なんで君がこんなところに?ここは新宿ダンジョンの第九十八階層。かなり危険なところなんだけど……」
「えっ……?え?だ、第九十八階層?」
天津の言葉を聞いた少女は愕然とした声を漏らし、顔が青ざめ出す。
「はい。そうです……もしかして罠ですか?」
「そ、そうです……わ、私転移型の罠を踏んじゃって……」
少女は天津の言葉に頷く。
「転移型の罠でここまで……?そ、そんなことあり得るのか?いや、でもここの魔力濃度とかは異質やし。いや、それでも……いや、このダンジョンの上層における死亡率の高さはもしかして……」
少女の言葉を聞いた天津は再び一人の世界へと旅立ち、ぶつぶつと独り言を漏らし始める。
「あ、あの……」
そんな天津へと少女は恐る恐る声をかける。
「はひっ!?」
急に声をかけられた若干、いやしっかりとコミュ症である天津はそれに体をビクつかせ、反射的に少女の方へとしっかり視線を向ける。
「……って、あれ?」
仮面越しに倒れていた少女の顔をしっかりと確認した天津は固まり、ゆっくりと首をかしげる。
「も、もしかして雨宮さん……?」
「えっ!?」
雨宮琴音。
自分と同じクラスの少女であり、大人気の美少女ダンジョン配信ライバーでもある琴音を前にして天津は呆然と声を漏らすのだった。
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