第5話 ペタペタペタ…
この日は、とても寒かった。
深夜に弟と2人遅くまで夜更かしを楽しんでいた。
箱買いしたみかんが玄関の廊下にあるので
どちらが取りに行くかジャンケンで決めることになった。
「じゃんけんぽん!」
「はい!ねぇちゃんの負けー!」
「最悪や!1番酸っぱいのとってきてやる!」
と私は捨て台詞を吐きながら廊下にむかった。
どれが1番酸っぱいか見定めていると
ペタペタペタ…
通り過ぎたかと思うとまた
ペタペタペタ…
裸足で歩くような足音が聞こえるのだ。
深夜でしかも一月の寒空の中裸足だ。
絶対におかしい…
ここらは老人も多いのでボケて徘徊でもしているのかなと思いつつ、みかんをとって弟の所に戻った。
「なんか、外で誰か裸足で歩きよう音するんやけど」と弟に言うと
「どうせ、ボケた老人が徘徊でもしよんやろ」
と笑って言った。
「でも、事故とかに合うと危ないから一応警察に連絡しようか」と私が言うと弟は
「近所の爺さんやない?見てみよう。」と
通り沿いの窓を少し開けて様子を、みることにした。
遠くから段々と音は近づき、
ペタペタペタ… ピタッと音が止まる。
またしばらくして
ペタペタペタ… ピタッと止まる。
足音の大きさ的にも明らかに近くにいる。
だが目の前には街灯もついている
明るい道だけが照らされている。
そこには誰も居ないのだ。
怖くなった2人は急いで窓を閉めて、リビングに戻った。
「誰もおらんのに、足音だけすごいしたよね?」と私が聞くと弟頷き
「しかも家の周りをぐるぐる回っているような足音の仕方や。」と言った。
もう一度確認したが、やはり音だけが響いていて、姿は確認できなかった。
その日は怖くて弟と一緒に寝たが、しばらく足音は止まなかった。
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