第38話 ---眞白side--- 想像

---眞白の思い---


「悪い」


部屋で待たせていた大原に謝った。

帰ると言った未来を咄嗟に追いかけたので、何も言わずに大原を1人部屋に残したままだった。


「さっきの、未来ちゃんですよね?」

「あ? うん」

「先輩、付き合ってるんですか?」

「いや……」

「そうですか。消防長に頼まれた書類はお渡ししましたので、自分は失礼します。明日から待ってます」

「ありがとう」


玄関を出る間際、大原が言った。


「付き合ってないなら、僕が追いかけても文句ないですね?」


大原は軽く頭を下げると、玄関のドアを閉めた。




ベランダから外を見ると、ちょうど未来がマンションの敷地から通りに出たところだった。

それを、さっき出たばかりの大原が、走って追いかけていた。


大原は何か言って、未来を呼び止めると、2人は並んで話しながら、視界から消えていった。



未来が、誰か自分以外のやつと、2人でいるところを今まで想像したことがなかった。

なぜか、そんなことなんてあるわけないと勝手に決めつけていた。

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