第25話 どうして……
黙ってずっと話を聞いていた。
「未来ちゃんと遊びに行けって言ってくれたのは消防長だったんだ。多分、ずっとオレを心配してたんだと思う。オレも、一度くらい遊びに行ってもいいんじゃないか、って思った。そうしたら、あの日、日曜日に、志保理の母さんから連絡があった。『志保理の状態が急変して、東奈大学病院に搬送された』って。それで、オレは……未来ちゃんが待っているのがわかってて、病院の方に行った……」
それで、面会時間ギリギリまで、ずっと、志保理さんの側にいたんですよね。
「どうして志保理は目を覚まさないんだろう?」
その問いには、誰も答えられない。
だから何も言えない。
「本当にごめん」
そう言って眞白さんはわたしに頭を下げた。
理由なんか言わないで、ただ謝ってくれただけの方が良かったな。
わざわざこんな話をするのは、わたしに何も期待するな、って言いたいんだよね。
わたしは、はっっきりと拒絶されたんだ。
「理由も聞いたし、謝ってもらったから、わたし帰りますね。」
早く、ここから立ち去ってしまいたくて、急いでマンションを出た。
今更もう遅い。
志保理さんを想う眞白さんを、わたしは、好きになっていた。
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