第19話 見上げた先に

毎朝、JRの駅からバスに乗って学校の最寄りのバス停を降りると、いつもはそのまま裏門から校舎に向かう。

でも今朝は濃い目のコーヒーが欲しくて、隣接する東奈病院側にあるコーヒーショップに寄るために、正門の方に向かった。

病院関係者用の駐車場の前を通って、正門に向かう途中、病棟のある方側を見上げて立っている人が目に入った。


眞白さんだった。


面会時間にはまだ早い。

だからなのか、ここからは見ることができないのに、志保理さんの病室の方を向いて、ただそこに立っている。


声なんかかけられるわけないから、コーヒーはあきらめて、来た道を戻った。


眞白さんは、あんなふうに、ずっと、何年も、志保理さんだけを想い続けてるんだ……

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