第14話 日曜日

楽しみにしていたせいか、日曜日はいつもより早く目が覚めてしまう。

それでももう、父はいなくて、テーブルの上にメモが置いてあった。


『ゴルフに行ってきます』


ゴルフのどこがいいのかわからないけれど、毎週行ってるから、好きなんだろうな。



午前中のうちに掃除や洗濯を済ませ、明日の予習に教科書を開いた。


ふと気になって、消防署の勤務形態をネットで調べたら、大体、朝8時半から次の日の朝8時半まで働いて、1日お休み、という隔日勤務だと書かれていた。


続けて、「東奈消防署 ましろ しゅういち」と検索してみた。

東奈消防署という文字が表示された検索結果の中に『東奈消防署に配属された若き救急隊員』というのを見つけた。

クリックすると、5年前の消防署の広報誌が表示された。


『21歳という若さで狭き門を突破し、高度救助隊を拝命 眞白 修一』


というタイトルの記事があった。


「ましろ しゅういち」の漢字がわかった。

5年前で21歳ということは、今26歳ということになる。


眞白さんは、記事の中のインタビューに、「『あと1分早かったら』と誰にも言わせたくない。その1分を自分が絶対に縮めて見せる。そんな思いで救助に向かっています。」と答えていた。




何を着て行こうかな?

大学に行く時みたいなラフな格好じゃなくて、でも『気合入れてます』って感じでもなく、それでいてかわいい服……そんな服ってある?


髪型も……

学校に行く時は実習のことを考えて、後毛の1本も出ないようにきっちり固めたお団子ヘアにしている。友達と出かける時は適当に結んでいるけど……巻く?

でもそれだと、頑張った感が出るかな?

結局、サイドをすくって後ろで結んだ後、毛先を巻いてみた。

いつもは黒いゴムで結ぶだけだけど、バレッタで留めた。


そして、待ち合わせの時間より少し早く着くように家を出た。

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