第7話 約束

「本当にありがとうございました」


お礼を言って帰ろうとした時、年配の隊員の人から呼び止められた。


「ちょっと待って」


その人はそう言うと、署の中に入って行き、しばらくして戻ってきた。


「ちょうど良かった。これ」


そう言うと、持っていたチケットのようなものを眞白さんとわたしに渡した。


「誰かにあげようと思って持ってたんだけど、ずっと忘れてた。来週の日曜、2人で行っておいで」


映画の試写会のチケットだった。


「あの……」


思わず眞白さんを見ると、一瞬困った顔をしたように見えた。

それで断ろとうとしたら


「じゃあ行く? オレとで嫌じゃなかったら」


こっちを見て笑いかけてくれた。

それで、その場にいた数人の隊員の人たちが一斉にわたしを見て、NOとは言えない雰囲気になってしまった。


「……行きます」


「天野のショッピングモールにある映画館だから、4時にインフォメーションで待ち合わせということで」


なぜかチケットをくれた年配の隊員の人が時間と待ち合わせの場所を決めた。


「そう言うことで、みんな仕事に戻って!」


その言葉に、周りで見物していた隊員の人たちが蜘蛛の子を散らすようにバラバラと仕事に戻って行った。

残ったのは眞白さんだけだった。


「ごめんね、予定とか大丈夫だった?」

「大丈夫です」

「だったら良かった」


眞白さんは笑顔を向けてくれた。


さっき、困ったように見えたのは気のせいだったのかな。

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