最強のラスボス 前編
1 逢引き
ユーディは駆けていた。その美しい金髪を風になびかせ、美しいフォームで軽やかに。街の外れの墓地まで来ると、息を整えながら一番奥の管理事務所兼屋敷へと向かう。
その入り口で足を止め、息を吸い込んだ時だった。
ドアが開いた。
立っていたのは、におうようなフェロモンをまとわせた麗しのアサリー。
ユーディはうっとりとアサリーを見つめた。
「……あいたかった」
「ぼくもだよ、ユーディ」
ふたりはねっとりと視線をからませ、やがてアサリーがユーディの腰を抱いた。
「準備はいいかい?」
「アサリ―……待ちわびたよ。あなたは焦らしてばかりで少しもいいと言ってくれないから」
少しすねたようにその整った横顔を見つめる。アサリ―は横目でいとおしそうにユーディを見つめ、
「今日はもう……寝かせないよ」
ユーディは湿った吐息をついた。
「アサリ―」
「わたしのかわいい人」
アサリーは、ユーディのこめかみに唇を押し当てた。
アサリーがユーディの腰を抱き、二階へといざなう。ユーディははやる気持ちをおさえることができずに「ああ……」と小さな声をもらす。
「もう、待ちきれないよ」
「ああ、わたしもだよ」
ふたりは転がるように部屋に入った。アサリ―が後ろ手にドアを閉めると、ユーディは自分のシャツのボタンに手をかけた。
「ユーディ。待って。それはわたしが」
「でも」
「まったく、君は、欲しがり屋さんだな」
アサリーはふっと優しいまなざしでユーディを見た。ユーディも待ちきれなかった自分を恥じるようにうつむいた。
「ユーディ……」
アサリーはユーディに近づくと、その厚い胸に手を当てた。そのままゆっくりとベッドに押し倒した。ユーディもされるがまま仰向けに横たわった。アサリ―はユーディの耳元に唇を寄せた。
「これから……ゆっくりかわいがってあげる」
「ああ……」
アサリーのその細くて冷たい指がユーディのシャツのボタンを外していく。それが肌に触れるたび、ユーディはごくりと唾を飲み、熱い吐息をもらす。
「……焦らさないで」
「ふふ」
ユーディのシャツを脱がし、ズボンのボタンも外す。現れたのはすらりと筋肉のついた足。そして、必要な部分だけを最小限の布で隠した理想の紐パン。
アサリーはベットの脇に寄せていた紐を取った。その紐を舌先でぺろりとなめる。
そして、ユーディの割れた筋肉の上に乗せた。
「優しくして……」
「ああ」
アサリーはユーディの体の敏感な所にたくさんのヒモを取りつけて行った。そして、自分はベッドの脇にあるクローゼットを開いた。
そこに入っていたのは。
大型の機械。そしてユーディの体に取り付けられた紐の一本一本がその装置につながれている。
アサリーは一人、その前に立った。
「最新型フェロモン製造機、アサリー三号!」
りりしい声で言い放つ。
「用意はいいかい?」
「ああ」
ユーディの声を聞き、アサリーは一人頷いた。
「スイッチ、オン!」
大きな赤いボタンを押した。
ウイーン、というモーターが回る音がし、紐の先につながれたユーディの体がぴくんと震えた。
機械はガガガガガ、と恐ろしい音を立て、その度にベッドの上のユーディもががががが、と、激しくゆれる。
「アザリいいいいい!」
声まで震えている。アサリ―は冷たく、そして美しくほほ笑んだ。
「どうだい?」
「もうううううう……ザイゴーだよおおおおおお……!」
ユーディは、ががががが、と全身を揺らしながら、震える言葉で至福の声を上げた。
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