7 さらに真っ黒なシマニャン
その頃、巨大な猫になったシマニャンは一人、街の上空を飛びまわっていた。シマニャンが飛んだ後からはピンク色の霧のようなものが現れ、街全体を覆っていった。
そう。ツキモリの放つ炎で「燃えてはいけない」家に魔法の防火壁を作っているのだ。
ひととおり飛び回って街がすべてピンク色の防火壁に覆われるのを確認すると、再びいつもの人間の姿に戻って街を歩き始めた。
先ほど避難命令を出したせいで街の中は閑散としている。今回は二回目ともあり、商店主たちは商品を建物の中に閉まって鍵をかけ、シャッターを下ろしていた。
「これだな」
手に持った地図をのぞきこみ、丘の中腹にある一軒の家の前に建つ。
「ふむ。こいつは清廉潔白をうたって、我々のヒモを断ち切ろうとする悪いやつにゃ。ツキモリに家を壊させるがよし」
口の中で呪文を唱え、その家の外壁を杖でつつくと、そこだけピンク色のもやが消えた。そしてまた、地図を見ながら別の地区へと向かう。
そのあと数軒を回り、同じように「正しいことをしようとしている」人たちの家の防火壁を外す作業が一通り終わると、正面から丘のてっぺんに建つ城を見上げた。
「さて、ここからがシマニャンの腕の見せ所……」
ニヤリと笑った。
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