9 怒らせたら怖い
パッパラパッパッパー。
突然、どこからかラッパの音が聞こえた。魔法少女の三人とユーディは顔を見合わせた。
「……またあいつかよ」
よどりんが鼻で笑ったときだ。
「お前たち! なぜ自分に与えられた使命を果たさないのか!」
現れたのはプロボウラーははこ。
魔法少女三人は顔を見合わせ、
「使命ったってなあ」
「これって確信犯だろ」
「あたしたちカンケ―ねーし」
下卑た感じで笑った。ユーディは、
「まあ、プロボウラーははこさん、ここはおさえて」
するとプロボウラーははこは、きっ、とユーディをにらんだ。
「やはりお前たちの仕業か」
「だからそういうことでは……」
「そういうことなら、わたしだって容赦はしない」
「なに、急に正義の味方ぶってるんだよ」
よどりんが喉に引っかかったような声で笑った時だ。プロボウラーははこの顔が激しくひきつった。
「見よ!」
ジャイアント・タカヒト氏の足元を指さした。
「あれは、わたしの家だっ!」
四人は、すでに煉瓦の塊と化した、プロボウラーははこの家だったものを見つめた。
「仕方ねえな」
よどりんが笑った。かずりんも、
「八百長ボウリングでもらった金で建てた家だからな」
「あんたにやられた奴らは今頃喜んでるぜ」
「自業自得」
ぶんりんは肩をすくめ、ユーディもうなずいた。
プロボウラーはは子の顔がみるみる赤くなった。じろりと音が出そうなほどの目つきで四人を見る。
「見るがいい。わたしの実力を!」
そして、
「ここで一句」
真っすぐ立ち、顔を正面に向けた。
「かえしたり
美しい声で詠んだ後、付け加えた。
「かえし、に返し と 帰し を掛けております。意味は……やられた分は、百倍にしてきっちりやりかえす」
怯える四人にニヤリと笑い、ボールに手をかけた。両手で顔の前に掲げてから、素早い動きで右手を後ろに引き、同時に左足を前に出した。
「ははこ――――――アターーーーック!」
ボールが手から離れた。
パンパンパンパンパン!
目の前の建物を跳ね飛ばし、プロボウラーははこのボールはジャイアント・タカヒト氏に向かっていった。そしてそのボールはジャイアント・タカヒト氏の足元にあるビルを潰しながら駆け上がり、そのみぞおちに食い込んだ。
「みっくすふらいていしょくぅぅぅぅぅ!」
悲痛な叫び声をあげ、ジャイアント・タカヒト氏はそのままボールと一緒に森へと弾き飛ばされた。
四人は顔を見合わせた。
「こ、こええ、プロボウラーははこ……」
「プ、プロボウラーははことはそういう奴なんだ」
「よどりん、どうにかしろ、知り合いだろ」
「に……逃げるぞ」
それぞれひきつった笑みを浮かべた時だった。プロボウラーははこがにやりと笑った。
「次は……あんたたちの番よ」
ボールを正面に構えたかと思うと後ろに振りかぶる。
「や、やべえ!」
「やめろ!」
「こんなの八つ当たりだ!」
「わ、わたしは無実だ!」
四人の声が重なった。
「ははこ――――――アターーーーック!」
パンパンパンパンパン!
四人は一斉に弾き飛ばされた。
「なんでやねーーーーーーーん」
「ふざけんなーーーーーーー!」
「なんであたしがーーーーーー!」
「わたしはイケメンだ――――――!」
それぞれ、別の方向に飛ばされた。
きらりと光ったのは気のせいだろうか。
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