第6話 喧嘩 後編

「美空。お前はもういいぞ、飯食いに戻れ。そして玲羅を呼んできてくれ。」


「はぁ… はぁ……」


「もういいから早く呼んで来い。」


「……はーい。」


 さてと、どうしたものか。取り敢えずあいつを待って居よう。


 玲羅は当然のことだが数秒で来た。


「あー、まず、美空と何があった?」


 念のためにこいつにも確認しておこう。何か食い違いがあったら面倒だからな。


「そうね、まずなんやかんやあって、高級レストラン? に行くじゃない。」


「何故疑問形?」


「もう、お恥ずかしながら娘に完璧リードされていたからそのままの流れでよ。」


「なるほどな。続けてどうぞ?」


「まぁ、そこで会計が2万弱になったのよ。」


 “弱”って付けるってことは少なからず、こいつには俺に対する後ろめたさがあるんだろうな。レシート見たらあれ完璧に2万超えてたがな。


「ここまでリードしてもらったし、これからもそうだと思ったからさすがに会計ぐらいは私が払わないと母としての威厳とか、面目が立たないじゃない。」


「まぁな。」


「そうしたら、あの娘ったら。“自分が支払う”とか言い出して。もう、カッコよすぎて惚れ直しちゃいそうだった。ただ、そろそろカッコつけないといけなかったから私が支払おうとしたんだけど、あの娘私の手掴んで動かさないようにしたのよ! 店員さんも困惑していたし!」


「そのときの美空はカッコよかったか?」


「そりゃあもう、あの時の美空は眼光が良すぎたわよ。こっちに物を言わせない圧を感じさせて… こほん、その時の私はカッコつけられなかったせいで、チョッとだけイライラしちゃったのよ。そのせいで気まずくなって今に至るわ。」


「ほ~ん。まぁ、ありがとう。最後に3人で話したいから、美空のところに戻ろう。」




「判決を言い渡す。」


「「?」」


————久しぶりにボケたのに何も返ってこなかった。


「まぁ、俺の個人的な意見としては“玲羅の方が悪い”と思う。だって、カッコつけようとして全部リードとかエスコートして、前もカッコつけてた奴の邪魔するなよ。美空も美空で可愛いと思うんなら傷つけてしまうかもしれないことするなよ。」


「「うっ……  …はい。」」




 ~あとがき的なもの~

 最近は脚が思った通りに動かない、相対音感です!

 今回、幹隆は2人のいざこざをどうにか解決しようと、最後まで中途半端な結果を言い渡しました。一番2人のことを考えて、心配しているであろう男は、一番目立たないのです。

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