噓告に絶望した僕はカノジョの目の前で飛び降りてトラックに轢かれました。するとうすら剥げの自称神が最強の力をくれました!みんなは地球を守れと言ってきますが、フルシカトで滅びに臨もうと思います。
第5話 それでも僕もやってないはずがないような気がする!
第5話 それでも僕もやってないはずがないような気がする!
目の前にカツ丼が置いてある。俺はそれに手を一切つけない。だって奢りじゃないらしいし。
「いい加減認めろよ。お前がやったんだろう」
目の前の検察さんがテーブルを叩いて俺を責め立てる。無実の罪を認めさせようと必死になっている様はいと醜き!
「俺は無実です!!」
「ばっちりカメラに証拠が残ってんだよ!」
確かにカメラに映るようにテロリストは殺した。
「あーもしかしてあれ?おじさんって勉強不足?」
「はぁ?なにが?」
「俺が殺したのってテロリストだよ?」
「そうだな。過去類を見ない大量殺戮をしたよな」
「だからぁ!殺したのはテロリスト!そんなん無罪っしょ!俺はみんなを助けたんだから!」
我ながら完璧な自己弁護である。テロリストならいくら殺してもセーフなのはハリウッド映画で勉強済みだ。
「だめだこいつ。話が通じねぇ…絶対にサイコ野郎だよ…反省の弁とか述べてくれないと裁判官の心象も滅茶苦茶悪くなるのに…」
検察のおじさんは頭を抱えている。きっと俺を有罪にしないと職場に居場所がなくなるような状況に追い込まれているんだろう。可哀そうだけど。俺は無実だし。
「いいから早く不起訴にしてよ。家に帰りたい。人質司法はんたーい!!」
「お前みたいなやつをむしろ野放しにできるか!危なくて仕方がないわ!!」
いい加減拘置所にいるのも飽きてきたのだ。そろそろ家に帰りたい。
「君みたいな子供にはまだわからないかもしれないけどな。この国は自力救済を禁止してるの。それにテロリストにも人権が保障されてるんだよ。君は圧倒的な戦闘能力でもって一方的にテロリストたちを虐殺した。だから君がやったことは紛れもない犯罪なんだ。わかるかい?」
おじさんは優し気な口調で俺を諭すように語る。だけど知っている。これは良い警官、悪い警官という無実の罪を吐かせるための高等な尋問の手管だ!
「でもさ。テロリストを俺が殺さなきゃ、学校のみんな死んでたよね?」
「それは仮の話だ」
おじさんには秘密だけど、あの場には魔法少女と未来人という超危険人物が二人もいた。あいつら絶対俺みたいに器用じゃないから人質巻き込んでもっと沢山の犠牲が出ていただろう。
「でも俺があいつらを始末したから、生徒たちには一人も犠牲が出なかった。それがゆるがない真実だよ。俺は人を救った。そこに後悔はない!」
「くそ!法治国家バカにしやがって!もう代わってぇ!こいつの事件担当したくない!代わってょ!」
俺が嘘の自白をしないもんだからおじさんがとうとう諦めかかってる。イイ感じだ。このままいけば俺は不起訴処分になるだろう。もともと掴まっていること自体がおかしいのだ。俺に取り調べなんてめんどくさいことしてほしくないよね。
「なんでこんなモンスターが誕生しちゃったんだろうな。俺たち大人がしっかりしてなかったのが悪いのか…」
おじさんがしみじみと寂しそうに呟いている。
「おじさん。いい加減認めなよ。あんたは無実の少年を今でっち上げの罪で牢屋に送ろうとしてるんだ!今ならまだ間に合う!すぐに釈放するんだ」
「裁判所もお前の保釈さえ認めてねぇんだよ。お前こそマジでやったことの重さを自覚してくれ」
でもそんなこと言われても俺のところには全国の人たちから励ましのお便りのが来てる。結婚して欲しいとか、出てきたら付き合いたいとか、ざまぁ最高とか、あなたを尊敬しているボクも学校で銃を乱射して悪い奴らをぶち殺したいですとか様々な好意的な意見が寄せられているのだ。どう考えても正義は俺にしかない。
「もういい。今日の取り調べは終わりだ。部屋に戻っていいよ」
「えー。あのくそ退屈な部屋なんとかなんないの?」
「文句言うな!いいから戻れ!」
警備の人に引っ張られて俺は拘置所の自室に放り込まれた。
「はぁ…辛い…なんで冤罪なんて言葉があるんだろう…悲しいなぁ…」
とりあえずすることがないので。俺は寝ることにした。
そしてその夜サイレンの音で俺は目を覚ました。
「え?何?火事?」
「違う!ロボットだ!人型ロボット兵器がこの拘置所を襲っているんだ!」
ドアの向こうの警備の人からそんな答えが返ってきた。
「はぁ?え?それって二足歩行?」
「ああ!ばっちり二足歩行だ!」
「まじかよ。SFオタ連れてこい。ツッコミ入れれば勝手に自壊するんじゃない?」
二足歩行ロボットとか現実的じゃないよね?確か重心がうんちゃらかんちゃらって冷めるようなことを言うやつが学校にもいた気がする。
「うんなわけあるかぁ!滅茶苦茶元気に暴れまわってるわ!とりあえず鍵を開ける!緊急事態だ!非難が認められた!ただし必ずあとで出頭すること!」
ドアのカギが開けられた。つまりこれって自由ってこと?!まあこれで遠くまで逃げると罪が重くなるパターンぽいけど。俺はとりあえず非難の案内に従って走る。するとどがががんと激しい音が鳴って目の前の廊下が崩落した。
「くそ!一体なんだ?!」
そして目の前の崩れた廊下の上に人型ロボット兵器が倒れていた。手とか足とかがトメェイトぉ⤴みたいに真っ赤になってる。あちゃー。きっと逃げてた被疑者をつぶしちゃったかぁ。可哀そう。とりあえず崩れた廊下は無視して別の避難路に向かおうと思った時であった。人型ロボット兵器の胸の部分が開いて、コックピットらしき部分が露出する。中には金髪の美少女がいた。気絶しているようだ。
「金髪美少女のパイロットが気絶している。…あっ絶対に近くに主人公さんとかいるっぽいぞ!早く探してパイロットルームに放り込んでやらないと!」
いわゆるボーイミーツガールな爽やか青春ロボット物なんだろう。俺は崩れた建物の隙間から外へとチート使って飛び降りて地面に着陸する。そして走って拘置所の入り口まで行く。
「あ?!お前はテロリスト殺しか!?だが無事でよかった」
検察官のおっさんが入り口近くで避難誘導していた。なんだよいいとこあるじゃん。
「おっさん!それどころじゃねぇ!主人公っぽい奴探してんだよ!」
「はぁ?お前はなにいってんだ?!いいから逃げろよ!」
「逃げるわけにはいかない!世界の平和がかかってるんだ!」
ここでロボットのパイロットになるにふさわしい主人公を見つけそこなったら、俺がチート能力でロボット軍団と戦わなきゃいけなくなるのは必至である。そんなめんどくさいことごめんだ。早く主人公探さないと。
「おっさん!被疑者の中にきっと無実の罪で捕まった陰キャな少年がいるはずだ!そいつを探してる!」
「あのさぁ。一応建前的には拘置所ってほぼほぼ確実に罪を犯したような奴が放り込まれてるんだよ。無実の罪で捕まってるとか言われても裁判まだしてないしわかんねよ」
「はぁ?!俺みたいな無実の罪のやつ放り込んでおいてよく言うよね!絶対に他にもいるだろ!早くそいつ教えろよ!」
「あっくそめどくせぇ!とりあえず陰キャの少年ならそこにいるぞ。取り調べでは無罪を主張してた。それでいいか?!」
「ああ十分だ。陰キャが大人相手に嘘をつけるわけがねぇ。そいつは絶対に無実だ!」
俺は如何にも没個性的な顔で前髪がバッテンクロスしている黒いロングコートを着た少年被疑者に話しかける。
「おまえだろ!無実のやつって!」
「え?ああ、うん。いじめられっ子にいじめられそうになった時に記憶が飛んで、気がついたらみんな死んでて…僕はやってない!僕じゃないんだ!僕の中のあいつが…!う、うわぁああああ!くくく、ああそいつじゃねぇ
別人格持ち?!なんて主人公適性の高いやつだ!?これ間違いなく主人公だよ!俺はそいつの手を引っ張って。
「いくぞ!お前を必要としている奴がいるんだ!こい!ロボットに乗って戦ってくれ!」
「そ、そんな無理だよ!」
「出来る出来る!いざとなったらもう一つの人格に任せればいいんだ!やれるやれる!いくぞ!」
俺は手を引っ張って走る。その途中ロボット兵器が地面に着陸してきた。
「やばい!とうぅ!」
俺は横っ飛びで降りてくるロボットの足を避ける。ぎりぎりで避けられた。
「ふぅ危なかったな…あれぇ?」
俺の手には二重人格主人公のお手々だけがあった。そしてよく見ると俺の傍に着陸したロボットの足元がトゥメェイトォ⤵をぶちまけたように真っ赤になっている。
「…………あれ?主人公なのに死んだ?」
一応確認のためにロボットの足を掴んで持ち上げて真っ赤になった地面を確認する。鮮やかな紅蓮のようなトゥメェイトォ色に染まった黒いコートがそこにはあった。
「…ゆるせねぇ!」
俺はそのままロボット兵器の足を握ってそのままその場でぐるぐると回ってジャイアントスイングで近くにいた敵っぽいデザインのロボットに投げてぶつける。二体は空中でぶつかって派手な閃光を上げて爆発して木っ端みじんになった。
「うおおおおおお!主人公不在でこの世界を誰が守れっていうんだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
そして何処からともなくエンディングテーマソングっぽい曲が聞こえてきたような気がしたのだった。
***作者のひとり言***
主人公が死んだ?!ロボット物と言えばボーイミーツガールですよね!ボーイいなくなったらどないすればええねん。やっぱり百合に走るしかないのか…。
今MF10周年コンテストに
『嫁に逃げられたおっさんの冒険』
嫁コンに
「草原の花嫁」
世界を変える運命の恋に
「王権の女神」
を投稿しています。
もう一度言いますね。
世界を変える運命の恋中編コンテストに
「王権の女神」って作品を投稿しています。
「王権の女神」という作品はとっても面白くなる予定なので是非とも読んで欲しいなって思います。
もう一度言いますね!
『王権の女神』は素敵な恋の物語ですよ!ぜひ読んでください!
ではまた('ω')ノ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます