十輪
ぼんやりにじむ夜の月。
疲れた足をずるずる、ずるりと引きずって、今日も眠るためだけに帰路に着く。
「ただいま」の声が、誰もいない場所に、響いて空回り。
そのまま、ぐたりとその場に倒れ込む。
全身くまなく重怠い。
このまま深く、泥に沈みたい。
ずぶずぶと、ゆっくりと生ぬるい泥に埋もれてしまえば、明日の苦労もないのにな…。
ああ、なんだって…。
大きく強い国の若く美しい王子さまだとしても…。
生まれ変わったら、カエルの姿になってるなんて思わなかった。
お姫さまはいいな。
いつでも待っているだけで良いんだから。
王子さまになんて、なるものじゃない。
物語と違って、現実は大変なんだ。
夢だけ見ている、美しくて心の優しいだけの娘を世界中から、対した手がかりもなく探し当てなきゃならないのだから…。
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