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【合計マナ量:583、水の闇マナ:45%、土の闇マナ:22%、土の光マナ:13%、風の闇マナ:12%、水の光マナ:5%、その他:3%】


僕はまた神殿でもらった診断書の文字を見つめていた。


何度見たところで結果は変わらないのに。


合計マナ量の平均は500くらい。


大抵の魔導戦士は800以上あるらしい。


ネイピアは620くらいだったと言っていたか。


そう、僕のマナ量は平均に毛が生えた程度。


魔導戦士なんて絶対無理というわけでもないようだが、マナ量で見るとそれほど才能はないようだ。


正直せっかく異世界転生なんかしたんだし、マナ量がチート級に多いとか、全属性オールマイティーに使えるとか、そういう展開を少しだけ、いや結構期待していたんだが。


そう上手くはいかないらしい。


だけど魔導戦士として功績を挙げるのが男に戻る一番の近道だ。


それならこのマナ量で魔法を最大限上手く使いこなすしかない。


前世でも本物の天才に囲まれながらどうにか一流大学に入っただろう。


こんな状況慣れっこだ。


そう自分に言い聞かせながら、ネイピアにもらった魔法の練習書を開く。


神殿からの帰り道、「疲れただろうから今日は早めに休みなさい」と言われたが、少しでも早く始めたかった。


相当の努力が必要だと分かった以上、じっとして居られないのだ。


本によると、魔法を使うためには体内に散らばっているマナを一箇所の「コア」に集め、その力をコントロールしやすくすることが重要らしい。


できるだけ小さな一点に集めるほどコントロールが良くなるようだ。


まずは集中して体内のコアを感じ取り、それをどこか一点に運んでいくことをイメージする。


イメージしやすいのは心臓かな。


僕は大の字に寝転がって目を閉じた。


深呼吸して体内のマナを感じ取ろうとしてみる…


体内に散らばった…少し暖かい感じのするらしいマナを…


マナを…



…いや、ぜんっぜんわかんないんだけど!


いくら集中しようがびっくりするほど何も感じない。


最初はこんなもんなのか?


ネイピアの言う通り、疲れのせい?


…まあいい、もう少しやってみよう。



しかし、どれだけやっても全くマナを感じることはできなかった。



ーーー


その次の授業の日、僕はそのことを話してみた。


ネイピアは「あら、一人で練習してたの?えらいわねえ」と嬉しそうだ。


「そりゃあ、最初はマナがどんなものかもわからないわよね。そういう時は、こうすれば良いのよ」


そう言って、ネイピアは僕の手を握った。


「今から指先の方にマナを流すわ。少し暖かい感じがするはずよ」


なるほど、まずはこうして感覚を掴むんだな。


僕は目を閉じて、ネイピアの手に触れているところに意識を集中した。



「ね、分かったでしょ?これがマナよ」


え?


ネイピアの声に目を開けると、いつもの自慢げな笑顔が見える。


今、なんかあった?


何にも感じなかったんだけど。


だけどネイピアは今ので当然何かが分かっただろうという様子で、呆然とする僕をよそに「まあこれからひと月くらいはマナを集める修行かな?」なんて言っている。


普通は今ので分かるものなのか?


あれ、もしかして僕、結構やばい?



それから不安を吹き飛ばすつもりで毎日毎日「修行」に励んだが、少しも変化を感じられなかった。


マナの気配など全くわからないまま、ひと月が経ち…


そのまま夏が来て、過ぎて行った。


季節は秋。


シンシアの4才の誕生日が近づいてきていた。


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