1979
「愛しているよ」
10秒以上の沈黙・・・・・・。
「嬉しいけれど、嬉しくないわ」
「難しいこと言うんだね、まあいいか。最初は疑心暗鬼だったけど、今は間違いなくそう言える。君の御主人にもはっきりと言ったんだ、君を愛しているということをね。だから、僕にとっては、君が僕を愛しているのかどうかは、大きな問題ではないんだ」
「だったらなおさらだわ。私を愛してはいけないわ。いえ、それは適切な言い方じゃないわ。本当は私を愛していないということ。貴方は、私の中に写る貴方自身を愛しているのよ。私も、最初は疑心暗鬼だったけれど、今は間違いなくそう言えるの。あの絵に描かれているのは 私であるけど私ではない あの絵は、あなた自身の姿を私の中に投影したもの、それを自覚していないなら、して欲しいわ。そして、今の貴方は、私を見つめているけれど、見ているのは私じゃない。貴方は私の瞳に写る、貴方自身を見つめているのよ」
最初の沈黙より、はるかに長い沈黙・・・・・・。
「君が僕を求めたように、僕も君を求めた。いや、僕が君を求めたからこそ、君は僕の求めに応じて、僕を求めた。だから葉子、お願いがあるんだ」
「何?」
「僕を、僕にしてほしいんだ」
葉子が何かを言っているようだが、判別困難・・・・・・。
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