第8話 Happy Birthday?
「はあ〜」
私は衣舞ちゃんの家にあるカレンダーを見てため息をつく。
「どうしたの?」
「ちょっとこれ見てよ」
衣舞ちゃんは首をかしげながら私に近づく。
「私が憑依したのは9月6日」
私はカレンダーに指をさす。
「で、私が憑依できる期間は1ヶ月だから10月9日でしょ」
「うん」
「古賀の誕生日っていつだと思う?」
「え?分かんない……」
「10月10日なの!」
「ええ!?」
衣舞ちゃんは驚く。ああ、タイミング悪すぎ。
「誕生日祝えないんだよ〜!」
「ええ……可哀想……」
「去年は色々あったからさ祝えなかったし……」
私は頭を抱える。今逃したらもう二度と祝えないかもしれないのに。
「あ、私の誕生日が10月8日だから……一緒にお祝いする?」
衣舞ちゃんが提案してきた。
「いいねそれ!合同誕生会やろうよ!」
「無理」
学校で古賀に合同誕生会のことを言ったら即レスする。
「えええ!なんで!?」
「俺その日は色々用事あるんだよ」
コイツいつもそうやって逃げるんだから……。
「用事って何があんの?」
「美術部が1日中ある。佐々木だってそうだろ」
「あ、そういえば忘れてた……」
「え!?」
部活なんて休んでも大丈夫だろ。
ピンポンパンポーンと放送が入る。
『美術部の生徒に連絡します。10月8日の部活は顧問の用事により無くなりました』
「よし、来いよ古賀!」
「ええ……マジかよ……」
──────────10月6日─────────
tubasa:〈誕生会ってどこでやるの?〉既読
〈ちなみに俺の家は無理〉既読
既読〈じゃあ私の家でいいですよ〉:衣舞
tubasa:〈おーけー〉既読
〈なるべく午後からでお願い〉既読
既読〈はい、分かりました😊〉:衣舞
tubasa:〈絵文字を使ってるってことは返信してる
は千葉だな〉既読
〈よく分かったねw〉:衣舞 既読〈あ、ちゃんとプレゼント用意するん
だよ〉:衣舞
tubasa:〈えめんどくさ〉既読
既読〈うわ……〉:衣舞
tubasa:〈え?もしかして佐々木?〉既読
既読〈ひどいよ古賀くん〉:衣舞
tubasa:〈あやべ〉既読
〈マジでごめん!〉既読
既読〈分かったなら早く買えよ翼💢〉:衣舞
tubasa:〈お前ら紛らわしいから代わるな!〉既読
──────────10月7日─────────
既読〈いよいよ明日だね!〉:衣舞
既読〈めっちゃ楽しみ!〉:衣舞
tubasa:〈そだな〉既読
既読〈ねえ私の時だと返信雑じゃない?〉:衣舞
tubasa:〈気のせいだろ〉既読
既読〈そういえばちゃんとプレゼント買っ
た?〉:衣舞
tubasa:〈うん〉既読
既読〈いくらぐらいだったそれ〉:衣舞
tubasa:〈1000円くらいじゃね?〉既読
既読〈やっす!〉:衣舞
既読〈うわ衣舞ちゃんが可愛そ……〉:衣舞
tubasa:〈そういうお前らはいくらなんだよ〉既読
既読〈もちろん衣舞ちゃんは軽く100万く
らい使ってたね〉:衣舞
tubasa:〈マジか〉既読
既読〈嘘ですよ。永音ちゃんが勝手に〉:衣舞
tubasa:〈やっぱそうか〉既読
〈逆に100万の物貰っても困るわ〉既読
──────────10月8日─────────
tubasa:〈もうすぐ着く〉既読
「だってよ衣舞ちゃん」
「……なんか緊張してきたよ」
私達は昨日即席で作った飾りつけを飾って、でっかいケーキを朝作った。誕生会の準備は満タン!いつでも来い!
「衣舞ちゃん、プレゼントの準備出来た?」
「うん。選ぶの大変だったけど頑張ったよ」
「何にしたの?」
私はプレゼントのことはぜんぶ衣舞ちゃんに任せたから私も分からない?
「ないしょ」
「えー教えてよ」
誕生会の開始時間は午後の5時から。だけど古賀はまだ来ない。もう5時半なのに。
「……遅いね古賀くん」
「あいつこれでドタキャンしたらヤバいぞ」
〈おーいまだ?〉:衣舞
〈大遅刻だけど〉:衣舞
〈衣舞ちゃんブチギレてるよ〉:衣舞
あれ?おかしいな。なんで来ないんだろ?
「わっ」
衣舞ちゃんが持っていたスマホが急に鳴る。
「ねえ、古賀くんから電話来たよ」
「え?マジ?ちょっと出てみて」
「うん」
衣舞ちゃんは頷きながら電話に出る。
「もしもし……古賀くん?」
『あ、いや翼じゃないだけどもしかして佐々木さん?』
「うん」
スマホから出る音は大きな音だったので会話内容は聞こえた。でもこの声古賀じゃないよね。
『あ、俺翼と同じ部活の酒井っていうんだけど』
『あのさ、今すぐ病院に来てくれない?』
「え?どうして?」
『あいつ佐々木んとこ行く途中に事故に遭ったらしくて』
「「え?」」
私と衣舞ちゃんの声が重なる。
「ちょっと衣舞ちゃん代わって!」
私は衣舞ちゃんの身体に憑依する。
「ねえ、どういうこと古賀が事故って!」
『なにこいつ急に性格変わるじゃん……』
『とにかく急いで来てくれよ!医者が言うには危険な状態だって!』
私は電話を切ったあとただ呆然と立ったままだった。なんで古賀
「衣舞ちゃん……」
「一緒に行こ。古賀んところ。絶対にプレゼント渡そう!」
「うん!」
私達は病院へ走った。
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