第6話 文化祭①!

――これより、文化祭を開祭します!

 と生徒会長がステージの上で明るく言う。さっきまで開会式をやってすごく盛り上がってたな。

 そしてそれぞれの教室へ行く。ついに始まった文化祭!



「はあ〜」

 と私はため息をしながら接客をしていた。

「何で憑依していいの店番の時だけなんだよ〜」

 これじゃあ文化祭見れないじゃん。

 私は古賀がいる射的の店番をしていた。古賀は客にルール説明をする係で私は倒れた的(ペットボトル)をひたすら戻す係。的は机に並べられて客はそれにめがけて輪ゴム鉄砲で撃つ。

「あー客こねーし暇だなー」

「ちゃんと店番しろよ。午後は遊べるぞ」

「それは衣舞ちゃんのことでしょ!」

 ずっとこの景色を見るのダル……。そんなことを考えてると今日始めての客が教室に入って来た。

 あれ?なんか見たことあるなあの人達。

「あ!翼いた!」

「あれ山本!?」

 古賀は驚いた声を上げる。そうだ確かあの人は中学校の時に古賀と仲良かった人じゃん。よく3人で放課後話してたな。

「お前全然連絡してくんないから学校探るの大変だったぜ」

「よくこの学校って分かったな」

「色々な人に聞きまくってさ来るのも大変だったわ」

 久し振りに再会したらしく2人は楽しそうに話してた。

「それよりさお前。あの子亡くなったんだっけ」

「ん?あの子って千葉?」

「そう。幼馴染みなんだろ」

 ん?待って今私のこと話してる?

「あれからお前ずっと気が落ち込んでるかと思ったけど、案外楽しそうな顔してるな。良かったわ」

「まあ……な」

 古賀は私を見ながら曖昧な返事をする。コイツ落ち込むどころか私に冷たくなったよな(怒)。

「で?新しい彼女は出来たの?」

「だから千葉は彼女じゃないって」

 いや彼女だろ!両想いだったのに!

「新しい彼女はできてない――」

「私だよ山本くん!」

 私は我慢出来なくて2人の会話に割り込みする。

「え!?この人!?めっちゃ可愛いじゃん!てか何で俺の名前知ってんの?」

 あヤベ。

「えーっとねコイツにあんたのこと沢山聞いたから。めっちゃ頭悪いとか、めっちゃウザいとか」

「はあ!?教えてないぞ⁉」

「何しとるんじゃ貴様!」

 山本が怒り狂い古賀を追いかける。ふーあぶね。

 静かだった教室がこれで賑やかになりしまいには客がいっぱい来た。



─────────1時間後──────────



「はあ、やっと帰ったよあいつ」

 とつぶやきながら古賀は教室に戻ってきた。

「お疲れさま〜」

「元はお前が嘘言うからだろ」

「しょうがないじゃん。私が憑依してるってバレたら大変だし」

「まあ、そうだけどさ」

 古賀は椅子に座ってペットボトルをがぶ飲みする。

 私も隣に座って辺りを見渡す。すると意外にカップル達が多いことに気付いた。やっぱり高校生とかって付き合うものなのかな。

 私は隣に居る古賀を見る。私がもしも病気じゃなくて死んでなかったら古賀と一緒に文化祭回れたかな?付き合えたかな?

「ん?どうしたの?」

 私の視線に気付いた古賀が私に訊く。

「えっ?ああい、いやなんでもないよ!」

 古賀は少し不思議そうな表情をするが「まあいいか」という感じで元の表情に戻る。

 あれ?もしかして私、古賀のことがまだ──。



──────────午後───────────



 千葉と佐々木は入れ代わり今度は俺達が文化祭を回る番になった。

 と言っても。

「……気まずい」

「いや私に言わないでよ」

 佐々木と文化祭を回ることにしたのだが佐々木は何も喋らないし俺が話そうとしても話題なんてなさそうだし。

 それで俺は半透明の千葉に助けを求めたのだが。

「古賀ってコミュ障だもんね」

「それを言うなって」

 そうなんだよコミュ障なんだよ俺は……。

「あれ衣舞ちゃんは?」

「今はトイレ行ってる」

「じゃあさまずどこ行きたいか訊いてみれば?」

「さっき訊いたんだけどさ……」


「さ、佐々木?どっか行きたいところある?」

 佐々木はいつものようにスマホで文字を打ち。

『どこでもいいですよ。古賀くんの行きたいところで』


「どこでもいいは優しいセリフに聞こえるけど一番困るセリフだからね」

 と千葉は笑う。

「それに敬語使うからさ、ただの後輩に見えてきたんだよ」

「あーそれは分かるかも……って古賀後ろ!」

「え?」

 俺は振り向くといつの間にか帰ってきた佐々木が泣きそうな顔をして立っていた。

「佐々木⁉ああ……ごめん聞いてた?」

 こくん……とゆっくり頷く。

「えーっと……あ、そうだ俺行きたい所あったんだよ行こうよ佐々木」

 今度は少し嬉しそうな顔をして「うん」と頷く。あぶね~。こういう表情コロコロ変わる女子って苦手なんだよな。



『え?ここですか?』

 佐々木は手を震わせながら俺にスマホを見せる。

「うんそうだけど」

 俺は文化祭の中で唯一行列が出来ていた店が気になっていた。お化け屋敷だけど。

「あれ?佐々木ってお化け屋敷大丈夫?」

 佐々木一瞬ビクッとする。そしてスマホを見せる。

『たぶん……大丈夫です。』

 たぶん……か。ちょっと足が震えてるし顔がもう死にそうだけど。

 そして俺達は列に並ぶ。並んでる間無言もきついので。

「佐々木って好きな食べ物とかある?」

『プリンかな……?』

 可愛いな。

「じゃあ好きな色は?」

『ピンク』

「好きなスポーツ」

『ぜんぶ苦手です……』

「好きな人」

「!!!!!!」

 佐々木は俺を一瞬見てすぐ目を逸らす。顔があり得ないくらい真っ赤になっていた。

 俺はそんな佐々木を見て少し笑ってしまう。

「次の人達どうぞ」

 と俺達が入る番になる。

「よし入るか」

 佐々木の顔は一瞬で赤色から青に変わった。



 中は(当たり前だけど)真っ暗だった。佐々木はがっつりと俺の腕を抱きしめてびくびくしながら入って行った。

 このお化け屋敷はただぐるっと回るやつじゃなくてちゃんとした設定があった。

 ここは心霊スポットの神社らしくなんでも願いが叶うらしい。しかし神社には幽霊が住み憑いていて願いを叶えるには神社に隠されてるおふだを5枚集めないといけないらしい。

 時間制限は3分。

「どこだ?おふだってのは?」

 俺は暗い教室内を探す。ガサガサと後ろからお化け役が音を出す。

「ひゃっ!」

「え?佐々木?大丈夫?」

 佐々木は人間では到底出せないような高音を出す。

「ごめんなさい……大丈夫です……」

 俺は少し心配になる。

「あ、おふだ一個あった」

 そして教室の奥の方へ進むとお化け役の人が体育座りをしてうずくまっていた。

「ん?なんだあれ?」

 俺は興味を持って近づくとその人は急に立ち上がって俺達を威嚇しだした。

「ひゃああ!」

 と佐々木はまた超音波を放ちながら俺に抱きつく。お化け役の人はなんか気まずそうにして動きが遅くなる。

「お、おいホントに大丈夫か?」

「あ、ごめんなさい……」

 俺に抱きついたことに気づいてすぐ手を離す。

「すいません時間でーす」

「あ、おふだ一個しか見つかんなかったわ」

 俺達はこれで終わりかと思いきや……。

「ではおふだが一個でもいいのでそこの神社でお願い事を1つだけ言ってください」

 案内人の指差す方向には小さいけど鳥居が作ってあった。

「じゃあ佐々木やってみれば?」

「……え?私?」

 佐々木怯えながらもその小さい鳥居に向かって手を合わせた。


  「古賀くんと仲良くなれますように……」


 佐々木の願い事は俺には聞こえなかった。

 すると願い事を言い終わった瞬間、佐々木の後ろから急にお化け役が襲ってきた。

「きゃあああああああ!」



───────────────────────

         あとがき

 今日はテスト期間で早く帰れたので投稿できました(ホントは勉強する時間なんですが)。

 読んでくれた方、ありがとうございます。まだこのお話は続くので見ていただけると嬉しいです。

 他の作品もよかったら見てみてください。

          NIZI




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