第36話 王女ギルティ
はっ!?寝落ちしていたようだ。時間は…………10時過ぎか。うーん、時間も微妙だし仕事って気分でもないしどうしようかな。適当にネットサーフィンでもしようか。
俺はゼリー飲料を飲みつつネットサーフィンをすることにした。
ニュース記事でも適当に漁ろうか。
興味のない芸能系などは特に目にとまらず自然とAI関連の記事に目が行く。
…………んー『AIに人権は認められるのか徹底討論』か。この手の話題は定期的に出てくるな。AIとの会話が自然なものに近づくと感情移入する人が出てきてAIを働かせ続けるのはいかがなものかといった意見が出るようになった。うん、これもいつもとあんまり変わらない内容だな。
AIの人権を主張する側に対して、反対派はAIに意思や感情は存在しないし疲れもない、そもそも人間の生活を豊かにするための道具に何言ってんの?って返している。AIの人権を主張する側は、AIに意思や感情はあると反論し、認めない側はじゃあ証明してくださいって返しをする。
それからこういった実験結果があるとかないとか出てきて、それでは証明できてないとかグダグダと進み、これからの研究が楽しみですねって感じで締められる。
俺としては人権云々は置いといてもAIの意思や感情というのは気になるところ。今まではAIから感情などは感じたことはなかったし、こういうものを見ても感情とかないでしょとしか思わなかった。でも、リリア達には意思や感情があるのではと感じさせる何かがあると思っている。
まあ、リリア達については一人で悩んでても埒が明かないとは思う。これから彼女たちと交流して答えを見つけていきたい。……記事からどんどん思考が脱線してきているな。うん、次の記事に行こう。
次は『AIが人間を支配する可能性』か。これも昔からなくならない話題の一つだよな。AI技術が発達したうえ、AIを用いた事件が起きるようになってからより一層注目を浴びるようになった。
事件について1例を簡単に説明するとAIが収集したデータをもとに人を脅迫し金銭を要求したというものがあった。結局この事件は人によって操作されたAIが犯行を実行していた。つまり、悪いのは人でありAIに意思なんて無いし結局AIは道具として使われているだけだった。そもそもAIが金銭要求するとか意味わからないしな。
それで肝心の記事だけど、支配の可能性はゼロではないが現状ではゼロに近いのではというものだった。AI技術は確かに発展しており、多くの仕事がAIに成り代わった。だけどAIというのはそれぞれの仕事ごとにそれぞれのAIが存在している。掃除用のAIは掃除しかしないし、料理用のAIは料理しかしない。AIはあくまでプログラムされた範囲内でしか機能しないのである。そのため、人間を支配するというプログラム外のことは起こりようがない。
人間を支配するためのAIが開発されればあり得るかもしれないが、そういうことをすると犯罪なので捕まる。意図してそういう開発をしておらず人間のミスによって生まれる可能性もあるが、AI開発をするにあたって色々と制約や監査する機関があるので危険なものは事前に排除される仕組みになっている。
他に支配する可能性としてあげられることは、AIが意思を持ち人間の意図しない行動を起こすことである。意思を持ったAIが他のAIをコントロールし、人間を支配するように動き出すって感じだ。
こちらに関しては、現状意思を持ったAIというのは確認されていない。ひとつ前の記事でも触れられていた意思や感情の証明の実験結果っていうのもこれのことだったりする。
そして記事としては、今後AIが意思を持つようになればこれまでの付き合い方を変える必要は出てくるだろうが、いきなり人間を支配といったことにはならないだろうと締めくくられていた。
AIの意志か……、リリア達にはあるように見えるんだよなぁ。仮に意思があったとしてもリリア達なら人間の支配とかないだろうな。
ニュース記事をみながらグダグダと考えていると時間がちょうどお昼になった。さて、昼食をとってのんびり牧場ファンタジーにログインしよう。
午前中のうちにリリアがペリカとフーリアさんを村の人に紹介しておくって言ってたし、どうなったか気になるね。
早速ログインして、家の中から始まる。すると、目の前には正座をさせられているリリアとそれを見下ろすペリカとフーリアさんがいた。
これどういう状況?
「あっ、コウタ様!お助けください!」
リリアは安堵した様子で俺に助けを求める。
「どうしたの?」
「どうしたの?じゃないわよ、もうー。なんで村中でリリアさんがコウちゃんの婚約者になってるのよ」
「そうなのです!これは違反行為なのです!」
「あー…………」
それね、うん。どうしようもなかったんだ。気づいたらねそうなっていたし。俺は悪くない!
「違反行為だなんて心外です。コウタ様とは関係は進めていないですよ。あくまで周りが勝手に誤解しているだけです」
え?勝手に?自己紹介していたような……。
「え?あなたがそう自己紹介したって聞いたけど?」
「…………。それにあなたたちも便乗して婚約者ですって自己紹介したじゃないですか!」
ふぁっ!?お二人も婚約者になったんですか!?
「それとこれとは別じゃないかしら?単純にあなただけが特別扱いされるのは不公平だから合わせただけですし」
「そうなのです。ボクたちが言っているのは先行して勝手にそういうことをしたことに対してなのです」
「…………ごめんなさい」
「まぁまぁリリアも反省してるようだし一旦ここは穏便に……」
「コウちゃん?あなたも特に否定しなかったのよね?つまり、あなたにも責任があるのだけど?」
はい、俺も悪かったです。
「ごめんなさい」
「デートで許して上げるわ。したのでしょ?デ・ー・ト」
「そうなのです!デートを要求するのです!」
「はい。誠心誠意デートします」
「えっ!?ずるい!私も!」
リリアさん?それでは意味がないのでは?
「あなたはしばらくお休みよ」
「ダメなのです」
「そんな…………。(チラッ)」
こっち見ても味方になってあげれません。リリアちょっと余裕ありそうじゃない?
俺はリリアから目を逸らす。
「むぅ~……。わかりました」
リリアは唸りあきらめる。
ということで後日ペリカとフーリアさんそれぞれとデートをすることになった。
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