第7話 釣りで気づく想い
昼ご飯も食べ終え、さっそく川へ釣りに向かう。
川に到着し、上流に向かい歩きながら魚が集まってそうな場所を探す。少し歩くと下部分がえぐれ影になっている岩があり、その付近に魚の影がちらほら見える場所を発見した。
「あ、餌を用意してないわ。必要なのかもわからないけど」
ゲームだし何とかなるだろう精神で早速釣りを始める。ウキが付いただけの仕掛けを投げ入れると、目の前に<ウキが完全に沈んだタイミングで竿を引く>と表示される。
1分ほど経過するとウキが沈んだため指示通りに竿を引く。すると目の前に<アイコンが赤色に重なるタイミングで竿を引く>というテキストと黄色と一部赤色のプログレスバーが現れ、魚のアイコンがプログレスバーを行ったり来たり動いてる。
タイミングよく竿を引くと魚が釣れた。
<イワナが釣れました>
<今行った釣りはアシストモードになります。より臨場感を味わいたい場合、オプションよりマニュアルモードにご変更ください。>
アシストモードとマニュアルモードの違いによる魚の品質や種類に影響はないため、好みで選べばいいようだ。
「んー、今はそのままでいいや」
現実で釣りはしたことがないため、しばらくはアシストモードでやってみて興味が出たらマニュアルモードに変更しようと思う。
それから1時間程度、釣りをして釣れなくなってきたら場所を移動してまた釣りをすると繰り返し行った。
釣果として、アマゴやウグイ、アユなど合計12匹になった。
「楽しいには楽しいけどしっくりこないな」
FWOでは一緒に釣りをしてくれるNPCがいて、話しながらのんびりと釣りをして楽しかった。釣りを通してコミュニケーションをとることが何よりも楽しかったからこそしっくりこないのかもしれない。俺はあの世界で関わってきた住人達のことが心底好きだったんだなと思う。
そのことを実感し途端に寂しい気持ちが湧き出してくる。
「はぁ、気分を変えるために始めたのにな…。女々しい自分が嫌になる」
それからは集中できなくなり、魚を逃がし続ける。
「ぐあー!?また逃げられた!」
今日はもうログアウトするか?いや、それはなんか違う気がする。
「よし!午前の散策の続きをしよう!鑑定も全然試せてないしな」
とりあえず午前に行ったところまで歩く。歩きながら何かないかと手当たり次第に鑑定をする。
<雑草:ただの草。>
<木:ありふれた木。>
「雑草、雑草、雑草、雑草、木、木……。鑑定さん……」
さすがに適当にしすぎたな。と一人寂しくふざけていると赤い実がなっている木を発見した。
「見るからにリンゴだな。一応鑑定」
<リンゴ:栄養価が高く、一般に広く流通している果物。>
案の定リンゴだったので、とりあえず収穫する。リンゴをインベントリにしまい、またあてもなく歩きだす。それから、ミカン、野イチゴ、ブドウを見つけそれぞれ収穫した。
そして、やっとファンタジー感のあるものを見つける。
<薬草:さまざまな薬の材料になる。>
「かなり奥に来ないと見つからないんかね。それか単純に見落としていただけか」
全部取りつくして生えなくなっても困るので数本残して採取した。
「そろそろ村に戻るか」
村に戻ろうと歩みを始める。しかし、すぐに歩みを止めることになった。
「キューー!キューーー!」
悲痛そうな甲高い鳴き声が聞こえてきた。さすがに気になるので様子を見に行くことにした。
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