第6話 雑貨屋で買い物しよう

「いらっしゃーい!」


 雑貨屋に入ると、快活な女性の声がかけられる。

 彼女は、この雑貨屋の店主をしているアマンダさん。肩まで伸びた赤髪にオレンジ色のバンダナを頭に巻いている。少しつり目がちでかっこいい系の美人な顔立ちをしている。身長は160cm程でスラっとしているが出るところは出ていてスタイルがいい。


「いらっしゃいませ!」


 続いて元気な女の子の声がかかる。

 彼女は、アマンダさんの娘のエミリーちゃん。年齢は8歳で普段は同年代の子たちと遊んでいる。偶にお店を手伝うらしく今日がその日のようだ。髪は母親と同じ赤色でおさげがチャームポイントになっており、優しそうな雰囲気があり、くりっとした目が可愛らしい印象を受ける。身長は130cm程である。


 アマンダさんの旦那さんはトムさんという人で普段は在庫や仕入れの管理、資金の管理を行っているため表に出てきていない。

 挨拶をした時の印象は、茶色の短髪で目元はエミリーちゃんとそっくりでかわいい系のイケメンって感じで優しそうな雰囲気だった。身長は俺と同じくらいだったので175cmくらい。


「こんにちは。一応買いたいものは決めてるんですけど、全体的に商品見させてもらいますね」


 まず目的の鑑定から探し、『簡易鑑定の書』というものを発見する。お値段は500G。

 それに並んでいくつか本がおいてある。『農業のススメ』『鍛冶師への道』『植物図鑑』などなど。

どれも500~1,000Gほどの値段が設定されている。


「アマンダさん、簡易鑑定ってことは簡易じゃないものもあるんですか?」


「ウチの店にはおいてないね。うちの店で扱っているのは初心者から中級者ものしかないよ。本格的に学びたいならウチに言ってくれれば取り寄せることも可能だよ。それか定期的に来る行商人に交渉するのも手だね」


「なるほど。その時はよろしくお願いします」


「あいよー。他に気になるものがあればまた聞いておくれよ」


 簡易鑑定の書と農業のススメは買っておこう。合計1,000Gだから残り1,000Gだな。

 他に売っているものを確認してみると、食材や薬、野菜の種、小道具などが置かれていた。傷薬は一応持っておいたほうがいいだろうかと悩んでいると小さな影が近づいてきた。


「お兄さん。何か気になるものはありましたか?」


 気合のこもった表情でエミリーちゃんが訪ねてくる。


「傷薬が気になっているんだよね。この傷薬ってどのくらい効果があるのか教えてもらえるかな」


「いいですよ!効果としては軽い切り傷程度であればきれいに治りますよ」


「教えてくれてありがとう。じゃあ、いくつか買いたいものがあるんだけど注文してもいいかな?」


 俺はちらりとアマンダさんを見て、アマンダさんがうなずいてくれたことを確認する。


「はい!お任せください!」


 エミリーちゃんは嬉しそうに返事をしてくた。


「それじゃあ、簡易鑑定の書と農業のススメを一冊ずつ。初心者の釣り竿を一つ。傷薬を3つ。以上でお願いするよ」


「はい!少々お待ちください!」


 エミリーちゃんはブツブツと商品名をつぶやきながら電卓のようなものをポチポチと押している。


「えっと、お会計は1,950Gです!」


「はい、どうぞ」


 俺は手元に1,950Gが入った袋を手渡す。


「ありがとうございます!今商品を持ってきますので少々お待ちください!」


 俺は渡された商品をインベントリにしまう。

 そういえばNPCにはインベントリなさそうだけど見ても驚かないな。まぁゲームだからと言われたらそれまでだけど。


 用事も済んだため、軽く挨拶をして雑貨屋をでる。


 出た直後に雑貨屋から聞こえてきた「今のうまくできたよね!」というエミリーちゃんの嬉しそうな声にほっこりする。


 一旦自分の家に戻り、簡易鑑定の書を読む。すると目の前に簡易鑑定のスキルを取得しましたと表示される。


 試しに農業のススメを鑑定してみる。


<農業のススメ:読むことで農業のスキルを取得する。また、農業の基本となる知識を知ることができる。>


 そのまま、農業のススメを読み、スキルを取得する。そして、パラパラとページをめくり中身を確認する。

 そこには畑の耕し方や作物の世話の仕方、野菜の品質を良くする方法など書かれていることが分かった。


「農業の説明書も兼ねている感じか。なら簡易鑑定の方も何か書いてそうだな」


 俺は簡易鑑定の書もいくつかページを読んでみると次のことが分かった。


 簡易鑑定だけでは物の名前と簡単な説明しかわからない。簡易鑑定では鑑定できないものもある。ほかのスキルの影響で鑑定の情報が増えることがある。本などで知識を得ることでも鑑定の情報が増えることがある。


「よし、きりもいいし時間もちょうどいいから昼ごはん食べるか」


 俺は、昼ご飯を食べにログアウトした。

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