五分の魂

はるむら さき

五分の魂

君が生まれた日、僕は死んだ

君をひとめ見て祝福するために来た人に

君とママを一番大切に想っている人に

僕の心はぐしゃりと踏み潰された

君たちからみたら些細なこと

地を這う虫の命なんて

「奪った」という意識もないんだろうね

けれど、僕は目の前で、大切なヒトを殺されたんだ

この気持ちもやっぱり君には分からないだろうね


絶望に怒りを混ぜたぐちゃぐちゃな感情で

上を見上げれば、君のパパのうれしそうな顔

君に「はじめまして」と笑いかけていた

その笑顔が呪いとなって、今でも僕を不協和音みたいな感情に縛り付ける


一寸の身体に宿る、魂のすべてで君を想うよ

祝福の代わりに怨みをあげる

「どうか君が苦しみに苛まれますように」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

五分の魂 はるむら さき @haru61a39

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ