Chapter_3 宇宙サービスエリア

「スペースラジオ・ミュージックチャンネル! お届けした曲はドドドンゴさんからのリクエストで黄金河オーケストラの闘志の歌でした! 引き続き今週はリスナーからのリクエストの多かった音楽を放送していくレスポンスウィーク! さて、次の曲は弾いて舞って歌えるボーカル、ゴーシュさんで有名な…………」





「イルト……やっぱり私達迷子なのでは……」

「いやナビ的にはもう直ぐ着く筈なんすが……」

 エアは冷や汗を浮かべ、イルトはモニターと睨めっこしながら応える。

 Dスターを飛び出して、その後。 宇宙サービスエリアを目指しアイガイオンは宇宙を飛んでいたがなにぶんリサイクルした旧式のナビである、信用度は低い。 ふらふらと道筋を疑心暗鬼で飛んでいた。スペースラジオは付けっぱなし、纏められていた非常食のゴミは搭乗室をふわふわと浮き出した。

「途中で誰にも会わないというのはおかしいですしナビの問題じゃなく宇宙サービスエリアに何かあったのでは?」

「そうかな……そうかも……」

 焦る二人の間では憶測が飛び交う。

 エアは記憶喪失で何も知らないし、イルトの持っている情報源はスペースラジオと商人から偶に聞けるモノ程度だ。 これからの為の補給や長旅への向けての準備もそうだが、宇宙の状況のちゃんとした情報を色々知りたいというのが宇宙サービスエリアに行く大きな理由であった。


「一応ナビ的にはこの近くのはずなんだが……ぐぬぬう」

「うーん……」

 唸る二人。そこにセンサーが向かってくる機影を一つ捉える。


「何だ!?」

 イルトが身構える。

「これは……?」

 エアが複座でセンサーをチェックし、訝しむ。 表示にはアイガイオンが起動時に出る名前と同じロゴでフィロソフィアス・ギュグエースと表示されていた。



 暫くして、機影はアイガイオンの前に現れた。

 それはアイガイオンと若干似ているが、アイガイオンが真っ白な素体を光の三原色のラインで彩られているものに対し、ギュグエースと表示されるそれは緋色と蒼のラインで彩られていた。 他には造形の細部が少し違う。



 イルトとエアが目を細めて観察していると、無線で連絡があった。


 ザザザ……ピューガザッ……

 スペースラジオをかけていた所に無線が来たため干渉してノイズが走る。イルトは急いでラジオを止め、無線に応える為にあれかこれかとシステムを弄りようやく見つける。

「すいません、ノイズで聞こえませんでした!

 私達はこの近くにあるはずの宇宙サービスエリアを探している者です!」

 エアが応える。ノイズが治り、相手の声が鳴る。

「ようし、これで聞こえているな! 僕はエンド、このフィロソフィアス・マシーン、ギュグエースの主だ! 君達は何者か!?」

 軽い自己紹介と強い問い掛けが来た。

「……フィロソフィアスってアイガイオンの型名だ。似てるしあっちもそうなのか?」

「私はエア、操縦しているもう一人はイルトと申します!」

「エア君にイルト君だね?

 宇宙サービスエリアは最近場所を移動したんだ。僕もこれから向かう所だが、宜しければ一緒に行って話をしたい。どうかな?」

「どうします?」

「うーん……警戒はしつつ同行しよう。フィロソフィアスこれが何なのか聞けそうだし」

「ですね!」

「話纏まりました、宜しくお願いします!」

「ようし、では僕について来てくれ!」

 そう無線が鳴り終わると、ギュグエースは踵を返し先行し始めた。両腕を光らせて降っている。ガイドビーコンの代わりらしい。

「ありがたいな……」

「こういうの、渡に船って言うんですよね!」

「おっ、詳しいねエア!」

「えへへ、ラジオでやってたんです!」

「へぇ……僕ミュージックチャンネルばっか聞いてるからな……今度俺も聞こうかな」


(あちら、無線切り忘れてるな……あの分だと最近起動してまだシステムを完全に把握してないのか……

 和やかなやり取りを聞く分には悪い者ではなさそうだ……)

 こうしてイルトとエアはエンドに後続し、宇宙サービスエリアへ向かうのだった。





 かくしてイルトとエアは宇宙サービスエリアに到着し、フィロソフィアス・アイガイオンを停泊させもう一つのフィロソフィアスの乗り主と対面することとなった。

「改めて初めまして! 僕の名はエンド、あのフィロソフィアス・マシーン、ギュグエースの主だ。 綺麗な蒼髪の君がさっき応じてくれたエア君だね。そして君が操縦をしていたイルト君か」

「ど、どうも……」

 イルトとエアはギュグエースを降りた声の主はエアと同じ人間だった。ヒューマノイド型宇宙人は数いれどもまるっきり地球人である。

 エンドの姿は、逞しそうな声から想像された姿に似合う精悍な青年といった様子であった。容姿はセットされた赤髪と赤青の迷彩シャツの軽装が目を引く動きやすそうなスタイルである。



 三人は宇宙サービスエリアへの入場を済ませ、それぞれのフィロソフィアスを繋留し、カフェテリアで一休している。

 イルトとエアは若干エンドを警戒しつつ縮こまって座る。


 宇宙サービスエリアとは、この宇宙に点在する解明不能な先史からの遺跡を改造したの拠点に旅人が行き着くようになった道の駅の総称である。 それぞれの宇宙サービスエリアによってローカルルールも激しい。 しかし商人達の運営だからこそ所属による差別は少ない。 それが旅人には好都合であり、よく利用される。 それが商人にとってはビジネスチャンス……そんなスパイラルで運営されている商業施設である。


 現在この宇宙サービスエリア282は競りが行われているようでかなり賑わっている。 喧騒の声に消され、会話は漏れそうに無い。


 エンドが冷水を飲み一呼吸して話し出す。

「いきなりすまなかったね。 この所、宇宙全体の治安が良く無いんだ。それで、君達はこんな所でいったい何を?」

 イルトとエアはこれまでの経緯を説明した。エアは記憶喪失であり、イルトはDスターの孤独の身であり、二人はそれぞれ自身の謎を解き明かしたく旅に出ている事。

 外銀河怪獣に襲われたりもしたがDスターに眠っていたアイガイオンを起動させた事で撃退した事。

 そして。

「あと僕アンドロイドなんですけど、人間の脳味噌と心臓があるんですよ」

「ふむ……んん?!」

「引っ張り出して見せてもいいんすけど気持ち悪くなっちゃうんですよね、見ます?」

「見たいと言えば見たいが……こんな所で出すのは憚られるだろう、少しだけ触らせてもらってもいいかい?」

「それくらいなら。どうぞ」

 イルトは作業着をはだけ、エンドはイルトの胸と頭に手を当てる。

「熱を感じる……本当のようだね、驚いたな。記憶喪失の可憐な少女と脳と心臓を持つアンドロイド、そしてフィロソフィアス・マシーンか。不思議な組み合わせだ」

「あの、そろそろこちらからも質問良いですか? エンドさんは宇宙で何をしてたんです?

 フィロソフィアス・マシーンって何なんですか?

 あと治安が悪いって……?」

 エアが軽く挙手して聞きたい事を列挙していく。その間にイルトは作業着を着直す。

「こちらからばかり聞かせてもらってしまったね、一つずつ答えさせてもらおう」

 エンドは手元にあった少しの冷水を飲み干し、腰を据えて語り出す。長話かなと思った二人は手元の炭酸飲料をストローで啜りつつ、話を聞く体勢を取った。

 エンドは入場する際に取っていた新聞紙を机に広げ、ペンを使い時折り絵を書いてイルトとエアに説明していく。




「まず治安について。最近外銀河怪獣の活動が広く活発になっていてね。君達が遭遇したのもその影響だろう。

 一応改めて説明しておくと、外銀河怪獣は僕達を含めた色んな生き物が住む銀河系とは別の銀河系からやって来たとされる怪獣の総称だ。

 種族は多く、共通するのは外銀河怪獣同士で情報の伝達や連携をするという事と、宇宙空間に本来発生しない超常的な風や火を起こせる脅威の生命体だ。

 一体だけならまだしも、群体で来れば宇宙政府が運用している搭乗操縦式ロボット・スペースマシンでも太刀打ちできない。

 これに対応すべく宇宙政府が秩序を保とうと躍起になっている。それに対して宇宙海賊も気を張っている。結果的に宇宙中のあらゆる勢力が睨みを利かせあっている状況になっているんだ」

「成る程……そんなことになっている……」

「それで、僕があそこにいた理由だが僕はとある財閥を持っていてね。もっとも今は休業中だが。

 仲間たちには外銀河怪獣の調査をしてもらいつつ、僕は単独で宇宙各地で困った人がいれば助けているんだ。そこで、君達と出会った訳だね」

「へぇぇ……じゃあ結構お偉いさんなんすね……」

 イルトは水を飲みながら感心する。

(俺は外銀河怪獣はたまにDスターに来る謎のバケモン程度にしか知らなかった……そういう事を知ったのも旅に出れたからだな……)


「宇宙政府と宇宙海賊というのは?」

「宇宙政府は知ってます、この宇宙を取り仕切ってる人らですよね!!」

 イルトが自分の知ってる話題が出たと乗り出す。

 エンドは苦笑して話し出す。

「まあ砕いて言えばそうだね。宇宙政府は宇宙に秩序を……と憲法の制定や治安維持に力を入れている者達の組織だ。 しかし、実際宇宙全体を管理するのは範囲が広過ぎる上に人手も実力も足りていないというのが現状だろう」

「外銀河怪獣の出所銀河もわからねえレベルなのにそりゃあ……」

「志は良いものかと思いますけど……」

「宇宙海賊はその名の通り宇宙の海賊……宇宙政府に属しない、法や規則に縛られない無法者の総称だ。括りとしてはとても大雑把で、ただのゴロツキの自称や名実共に一目置かれる本物の義侠もいる」

「「ほへぇ……」

 二人は食い入るように話を聞く。この世界がそんな状況なのか、そんな組織や者達がいるのか。イルトやエアにとっては商人からの噂話やラジオからの情報では無い、初めて聞く新鮮な情報であった。エンドの教え方が新聞紙に乗っている情報を解説しつつ独自目線を添えるというものでわかり易かったたのも感心した要因だろう。




「しかし外銀河怪獣を二度撃退するとは、君達はフィロソフィアス・マシーンをかなり扱えているようだね」

 エンドは水を入れ直して来た。座り直しつつ二人を見据え褒める。

「ありがとうございます! ……そうだ、さっきから律儀にフルネームで言ってるフィロソフィアス・マシーンとは一体何なのですか?」

 エアが聞く。

「それについてだが……僕も全貌は理解してしていないんだ。

 別系統のシステムで動いているが便宜上でマシーン呼びをしているしね。

 僕が乗っているギュグエースは父からの頂き物でね、父にそれを聞く前に亡くなってしまった。

 解っているのは、宇宙政府のスペースマシンなどとは比べ物にならない性能がある事、起動時にコンソールパネルに表示される情報で察する機体名くらいの物だ」

「そうなんですか……」


 重たい雰囲気が三人に流れる。

 三人とも同時に一息吐こうと水を飲んだ。全く同時だったので、飲みながら顔を見合わせる。

 ふと、三人に微笑みが零れた。





 その後、食事を終わらせ補給物資を買おうと用品販売所へ来たイルトとエア。エンドは残って会計をしてくれるらしい。

「色々と助けてもらって、ありがたい限りですね」

「そうだね、話の物腰から悪い人ではなさそうに感じる。

 頃合いを見て地球の事を聞いてみようか」

 そんな話をしつつ、販売所の店主による買った物資のアイガイオンへの積み込みを待っていた。店主は変なスペースマシンだなあと思いつつも、若い旅人へのサービスだと快く手伝ってくれている。


 談笑するイルトとエアの前に、柄の悪い宇宙人達がやってきた。エアやエンドのようなヒューマノイド型ではない。いかつい獣人や体から触手を生やした不気味な怪人型の一行だ。

「へへへ……お嬢ちゃんよお、こんな所で一人で何してんだい?」

「一人旅かい? よかったら俺たちが付き合ってやるぜ?」

 宇宙人達は下衆びた様子でエアに声を掛ける。

 イルトはエアの前に立ち、宇宙人達を睨む。

「一人じゃない、僕もいる!!」

「ああ? 何だこの薄汚え作業着ィ着たアンドロイドは」

「アンドロイドの付き人一体くらいいてもいなくても変わんねえぜェこの世の中じゃよ。俺達の方が安心できるぜ?」

「そうだそうだ……ぞっ!」

 そういうと宇宙人の一人がイルトを突き飛ばした。

「ぐわっ!?」

 突き飛ばされ、商品棚にのし掛かってしまうイルト。掛けられていた商品が零れ落ちる。

「貴方達……! やめてください! イルトさんは私の大切な……」


 一瞬言い淀む。友達や親友より距離がが違う。恋人? 照れる。仲間? 少し遠い。


 その迷いをイルトは汲んだのか、続く言葉を宇宙人に言い放つ。

「そうだ、エアは大切な相棒なんだ! てめえらみたいなごろつきに任せられるか!」

 相棒。イルトが咄嗟に出した関係。これで合っているかはわからないが、二人の間では今はそれで十分だった。

 エアはイルトのそばに駆け寄り、宇宙人達を共に睨む。

「おーおー……熱いじゃねえか!」

「生意気だぜ、やっちまうか?」

「死なねえ程度にブン殴ってやるか!」

 そういうが早いか、宇宙人達の一人、ゴリラの様に毛深い姿の宇宙人がイルトに向かい殴りかかってきた!


 しかし、イルトはアンドロイドである。

 Dスターを身一つで生活していた体の持ち主だ。スペースデブリを力で掘り崩すなどもやってのける力の持ち主だ。

 さっき突き飛ばされた時も宇宙人はもっと吹っ飛ばすつもりでやったのに棚に押される程度だった。

 そんなイルトに普通のパンチが効く道理は無かった。

「硬え!」

 殴った宇宙人の方が悲鳴を上げる。

「へっ! 丈夫さはちったあ自信があるんだ!」

「この野郎!」

 他の宇宙人達も激昂し殴りかかってくる。見切って避ける程の能力はない。なので受け止める。腹や顔に突き刺さる拳の一撃を一度耐え、伸び切ったその腕をつかみ体を宙に浮かして地べたに叩きつける。三人ほどにそれをやった後、生半可な攻撃では効かないと判断したのか、残る一人の単眼の宇宙人が電磁ナイフを抜いた。

「死ねやぁっ!」

 流石にこれは受けられない。しかし引けば後ろに隠れているエアに当たる、引けない! ならば!!


 ガシィッ!


「何っ!!?」

 腹に刺さる直前。両手でナイフの刃を掴みギリギリで止めた!

「つあぁぁぁっ……! そう簡単に、死んでやるかこの野郎!!」

 右手でナイフの刃を掴んだまま、左手で拳を作り刃の上から衝撃を与えて折る。

「ひいっ!」

「ナイフ抜いて殺しにかかったんだ……顔面一発くらいは覚悟しろよおっ!」

 イルトは単眼の宇宙人の襟を片手で掴み、もう片方の手で強く握り拳を作って顔面に直行させる! その殺気は背後に悪魔を感じさせる程だ。それを止めようと、倒れていた三人の宇宙人がイルト目掛けて飛びかかるが拳は止めない!



 その拳が単眼を潰す事はなく、腕は途中で止められた。



「そこまでだ」

 渋い低音の声がフロアに響いた、

「店主のおやじから騒ぎがしてると聞いて来たら……てめえら、堅気に何ちょっかい出してんだ?」

「げ!!?」

「……?」

 視線を集めた黒い眼帯の人間は、そこら辺に倒れ遊んでる宇宙人達を睨み一喝した。

 威圧的な雰囲気を出し腕を掴んだままイルトの方へ顔を向ける。

「うちの馬鹿が迷惑かけたな。ケジメはこっちでしっかり取らせる、この場は収めてもらおう」

「……わかった」

「物分かりが良くて助かる。ナイフ折る所だけ見させてもらったが、良い度胸だった。また会おう」

 そう言うと、威圧感のある宇宙人は踵を返し、外へ向かう。ふと周囲を見返すと倒れていた宇宙人達は宇宙人の仲間らしき大柄の牛男宇宙人に引き摺られていった。

「……はぁーーーっ!」

 緊張の糸が途切れたようにへたり込むイルト。

「大丈夫イルト!!?」

「平気っっっ……!」

「掌が切れている、手当てした方がいいだろう」

「エンドさん!」

 声の方へ振り向けばエンドがいた。

「すまない、もっと早く戻っていれば良かったんだが、食材資材関係を買ってから来たんだ。仲裁をしようとしたら先に彼が飛び出したもんでね」

「エンドさん、あいつは……? すげえ気迫だった……」

「彼らが宇宙海賊だ。そして後から出てきたすごい気迫の人間はキャプテン・アルファルド。宇宙海賊団“虹の蛇“の団長だ」

 イルトに手当をしながら話すエンド。一方ようやく店主や怯えていた店員がやってきた。三人は説明をし、怒りの矛先を受けとっとと補給したら帰れと弾かれてしまうのだった。





 店外に出ようとする宇宙人とエンドがすれ違った時、一瞬の会話があった。

「キャプテン・アルファルド……」

「……そうか、お前があの子供達の保護者か」

「……そんな殊勝なものではない……」

「今はこの馬鹿どもにケジメをつけさせるのが先だ、お前の相手は後にさせてもらう」

「こちらとしても、そうしてもらえると助かる」

「じゃあな……

「…………僕は…………」





 その後。店主やサービスエリアのオーナーから厄介事はごめんだとすぐ此処を出る事になった。

「すみませんね、僕のせいで……もっと長休みできたのに」

「そんな! イルトは悪くないんです、私のせいで……」

「君達が気に病むことはないよ。補給は済んだのだから上々だ。

 なにより手が深傷じゃなくて良かった。操縦に不備はないかい?」

「大丈夫です!」

 互いのフィロソフィアス・マシーンを起動し画面通話のような形で会話する三人。とりあえず行く宛もなく宇宙空間を流れていた。

「君達はこれからどうするんだい?」

「とりあえずエアと同じ人間を探そうと思います。 エンドさんは?」

「それなら太陽系のある天の川銀河へ共に行かないかい? 太陽系が人類発祥の地だとギュグエースを託された父から聞いていてね。実は僕も探しているんだ」

 二人は歓迎する。

「おお……ぜひ! 心強いです!」

「エンドさんも地球探しですか?」

「ああ。 色々あってね。自分探しをしている。だから僕自身が地球に行きたくて手を借りたいのもあるのだけど、君達の旅にも興味が湧いた。

 イルト君の度胸、エア君の優しさに惹かれるものを感じた。君達の旅がどうなるのか見てみたい。

 それに、同じフィロソフィアス・マシーン乗りの仲間だからね」

「仲間……」

 エアとイルトは相棒とは違う、仲間という関係に胸を打たれていた。ちょろいものだが、感動である。

「歓迎ですよ、よろしくお願いします!」

 イルトとエアの旅に、新たな仲間が加わった。


 目的地を決め、気合を入れ直した一行。

「よっしゃあ!! 行きますぜ!!」

 それぞれフィロソフィアス・マシーンをいざ起動させ、意気揚々と出発しようとした、その矢先であった。

 センサーが過激な警報と光で反応する!



「これは……!?」

 熱源反応は目の前を指していた。エンドはこの反応の仕方に覚えがあった。



 ふと前方を見ると光学迷彩機能を使っていたのか徐々に姿を表していく巨大宇宙戦艦があった!

「はあ!? はあぁぁぁぁっ!?」

「ユルルングル号……!!」

 帆に七色の蛇が橋のように伸び広がった宇宙海賊船がアイガイオンとギュグエースの前に現れる。

 イルトとエア、エンドが身構えていると、無線連絡で海賊側から声が掛かった。

「先程はすまない。改めて話がある」

 低く渋いキャプテン・アルファルドの声が操縦室に響く。




 一触即発の雰囲気が、宇宙に流れた。

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