第一章 聞こえ始めた薬恋歌①
大陸で
しかし、誰もがなれる訳ではない。もちろん多量の知識を身につけられる
薬術師は生まれながらにして、その身に
薬術師は
それは同時に、危険視される
彼らの
先に癒せと
キオスを害せば、たとえ
たとえ己の命が
薬術師は、キオスの秘宝であり、世界最後の希望だった。
● ● ●
柱が
「ライラさん? どうしたんですか?」
美しい
「具合悪いですか? 私
「
黒髪だけが美しいのではないサキは大人気だ。舞踏会が始まってからずっと人に囲まれていた。ライラとて薬術師。
「出席という義務を果たしたので、そこそこで
「確かに。じゃあ私は、存分に愛しい柱と愛し合うことにする」
「柱が愛しいなんて、ユーリスみたいなこと言わないでください」
「ユーリス
サキは
「ユーリスは熱を出すたびに、柱や
「…………それは
「彼はそう主張して
「なるほど……」
ライラ・ラハラテラ。十五歳。
サキ・イクスティリア。十七歳。中薬二師。現在最年少の中薬師だが、少々
ライラとサキは薬術師だ。舞踏会の会場内においても、二人の姿は目立つ。何せ、どちらもドレスなど着ていない。当然だ。職務中である。
薬術師が着用する統一された衣装は少し特殊だ。
現在二人は故郷キオスを遠く離れ、連合加盟国であるパオイラに出向いていた。薬術師は国外
しかし、そこは薬術師。転んでもただでは起きぬ。入手困難な薬草をパオイラに
「ユーリス、元気かなぁ」
「代わりに出てもらってすみません。倒れるのはいつものことなのですが、今回は時期が悪くて……いや、いつも悪いですね」
「まあ、遠征二日前と言えど倒れるときは倒れるよ。むしろ遠征中に倒れなくてよかった」
サキの親友であり薬術師としての相方であるユーリスは、ひどく
そして現在、貴族と王族の健康
王女の誕生パーティーだけあり、内容は非常に
一年前、連合の条約を破った国が現れた。その結果、キオスは
これも必要なことだと
「全く、何年
「全くです。しかし王女もお人が悪い。決して
バルコニーで二人の男が、酒を片手に話している。
「あれだけの妖人。
「ああ、全く全く。姿形は最上級だというのに、致し方ない妖人ですな」
頷き合って酒を
パオイラや周辺の国々は、この周辺地域でしか生まれない妖人を
「ライラさん、部屋に
中薬として格段に遠征が多いサキは、さほど疲れを見せない。中薬になれば自分も彼女のような慣れを身につけられるのだろうか。ライラは
薬術師は
「でも、サキ一人だと視線が
「平気です。兄さんがいるから」
「
そしてイヅナはサキの護衛
イヅナは妖人と
「兄さん! いるのは分かってたけど、気配消すの、やっぱりやめて!」
「お前がいるところに俺はいるさ」
「兄さんごめん、会話になってない」
全く会話にならないのに
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