第21話 過去の清算
【樹】視点
週も変わりまたパートナー変更となった。
樹・雪美 、仁・秋穂 、真司・桃花、春人・静夏の組合せであるメッセージが届いたのでそれに従い、俺は雪と行動を共にしている。
今回俺は過去の清算として高校時代に雪の事が好きだったこと、告白できなかったこと等当時の気持ちを打ち明けることを決めていた。
何故そうしようと思ったのか考えてみると、静夏に偉そうに講釈垂れたが、俺も何か引き摺っているではないかと考えた時、『時代に雪に告白できなかったことは後悔したな~』と思ったからだ。
いい機会なのでこの雪との二人の時に伝えることと決めた。
雪と夕食の約束を取付て夕食後に少し外で話すことを考えている。
早速メッセージで「OK」の返事が来たので雪を迎えに行きそして食事をした。
食後少し話したいことがあることを伝え夜の公園のベンチで話すこととなった。
「今日は雪に聞いてもらいたいことがあるんだ」
「何々改まって、いつ君らしくないぞ」
「まぁ真面目な話なんだが過去の話何で気楽に聞いてくれ」
「真面目な話なのに気楽に?変なこと言うな~」
「そうだな・・・まぁいいか。最初に伝えておくと、俺は高校時代、いや雪が仁と付き合い始めるまでずっと雪が好きだった!!」
「え?・・・」
「本当は仁とお試しで付き合い始めると聞いて、そんなことはやめろ、俺と付き合ってくれって言いたかったんだけど言えなかった」
雪は凄く驚いでいる様でこちらをじっと見ているが全く言葉を発しなくなった。
「何でだろうな~あの時逆に心にもないおめでとうとか俺言ってたな・・・そして、数か月で雪が仁の事をどんどん好きになっていってるのを感じて距離を置いたんだ。そして、秋穂が好きになった時に雪の時の後悔から直ぐに告白して付き合い始めた。」
雪を見ると涙を流している。
「泣くなよ・・・」
「だって・・・」
「話し続けるぞ」
「うん」
そして雪の知らない俺の歴史を語り終えた時泣きながら雪が抱き着いてきた。
「ごめんね~あの時気が付かなくて、初めて告白されて舞い上がってたんだと思う」
「そうか・・・」
「でも仁が好きになっていったのは本当で、でもいつ君に悪いなて気持ちもあったのかもしれない。だからいつ君が距離を取った時ホッとしていたと思う。でもねSGでまたいつ君と昔みたいな関係に戻れるんじゃないかと期待しちゃったんだ。まるで自分が手放したものを再度取り戻すような気持ちになってたのかもしれない」
「そうか・・・」
「いつ君さっきから「そうか」しか言ってないね」
「そうか・・・」
「ほらまた・・・今だけギュッと抱きしめて欲しい・・・今だけ」
「分った・・・」
どの位時間がたったかは分からないが、二人とも泣きながら長い時間抱きしめ合っていた。
【雪美】視点
いつ君は家まで送り届けてくれ「明日からはまた普通通りでよろしく」と言って帰っていった。
私も高校時代に仁と付き合い始めるまではいつ君のことを好きだった。
中々告白してくれないいつ君に不満を持っていたのかもしれない。
当てつけで付き合い始めたのかもしれない。
『何故私から告白しなかった?』そんなことをふと考えると、多分、もし断られたらと怖がっていたのかもしれない。
時間は巻き戻せないし、私には仁がいるしいつ君には秋穂がいる。
私も未練を断ち切る切欠に成ったような気がする。
明日からはまた何時も通りの私でいよう。
なんだか急に仁の声が聴きたくなった。
電話してみよう。
呼び出しのコールはなるが繋がらない。
多分寝ているのだろう夜遅いし仕方ない、メッセージで「おやすみ」とだけ送信しておいた。
【秋穂】視点
仁君と別れ帰宅していると、公園を歩く樹と雪美を見かけた。
何だろうか胸騒ぎがして二人の後をこっそりと着いていく。
暗いので二人とも気が付いていないようだったので二人に見えない位置に隠れ二人の会話をこっそりと聞くことにした。
声が聞き取り辛い、断片的に樹の声が聞こえる。
「俺は・・・・・・・・・・・・・ずっと雪が好きだった!!」
え?何言ってるの?
「・・・・・俺と付き合ってくれ・・・・・」
雪美の顔を見ると驚いているようだ。
「・・・・どんどん好きに・・・・・」
雪美が泣いている。
私の頭の中は真っ白となりそのままそこに居続けていると、雪美が樹に抱き着いた。
「ごめんね・・・気が付かなくて・・・・」
「・・・好き・・・・本当・・・・いつ君と昔みたいな関係に戻れる・・・・・・再度取り戻す・・・・」
雪美は何を言っているのだろう・・・・樹には私が・・・
そして二人は泣きながら抱きしめ合っていた。
私は最悪の出来事を見てしまったことでこれ以上そこに留まる事が出来ず、逃げ出す様に公園を後にした。
そんな時、仁君より「今日は楽しかったね」のメッセージが届いた。
私は直ぐに仁君に電話し「今すぐ会いたい」と伝えると「分った。なら今から家に来る?」と言われたので仁君の一人暮らしのマンションへと向った。
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