スワップゲーム

第20話 相手の立場

【樹】視点

静夏との組合せとなったが、彼女は何か考え事をしているからなのか思案顔したかと思うと落ち込んでいるような感じ、また思案してを繰り返している。

「静夏、お前な～何してるんだよ」

「え？何が？」

「無自覚か？さっきから心ここにあらずって感じだし、思案顔して落ち込んでをループさせてるぞ」

「あ・・・」

「思い当たるだろ？」

「うん」

「考えていそうなことは予想できる」

「え？予想できるの？」

「前回の事からの考察してだけど、真司の事と仁の事考えて如何すべきか迷っている。で合ってるか？」

「合ってる・・・」

「気持ちは解るが、今は俺がお前の彼氏、OK？」

「OK・・・」

「その彼氏の前で他の男の事ばかり考えているって彼女失格では？」

「うっ・・・そうだけど・・・」

「これはゲームだ。俺は少なくともこの期間に性的問題起こせば破綻するとみているぞ。それでも期間中の出来事は不問だから、後は終わった後に許せるか許せないかだけ。許せるなら今まで通りとは行かないまでも新たに関係を構築して行けばいいと思ってるし、許せないならそれまでだな」

「もしさ～仮にだけど秋穂が性的問題起こしたら？」

「信じているが絶対じゃない。問題起こしたから、ハイ、さようならって言うのもな～とは思うけど程度もあると思うんだよ。」

「程度・・・」

「例えばだけど、一回の過ちで責めるとしてだ、反省するか不問だからと開き直るかでも程度は違うと思うんだよ」

「過ちを起こしても？」

「俺的な話だけど、反省できるなら取り合えず関係を考える。様子見て本当に反省してるのかどうか見る。」

「許せるの？」

「解らん。でも、許せるかどうかはその時の判断。結局の話、相手の立場に立って考えることが重要何だと思う」

「相手の立場？」

「過ちを犯した人はどう思うか？もうしないから許してほしいと思うよな？」

「思うだろうね」

「２回も３回もするバカは除外するけど、反省して失敗を繰り返さないことを俺は評価する。それに、一度の過ちで折角作った関係を壊すのは寂しいし、俺も過ちを犯すかもしれない」

また深く考え始めた静夏の様子をうかがうこととした。

【静夏】視点

言葉が出てこないが既にやらかしている感のある私は深く考える。

今の私の現状を考える。

気持ちの上ではアウト、では肉体面ではセーフだろうか、ご都合主義ではあるが、高校の卒業式での事は考慮しないこととする。

考えただけで行動に移していないのでセーフか・・・今はまだ・・・

また樹っちが話し始めた。

「結局は相手の事を考えて過ちを犯す前に自制すれば問題無いんだけどな。」

「そうだね。」

「静夏に１つアドバイス。ゲーム中はゲームに徹しろ。一人の時に真司のこと仁の事を考えろ。終了後に仁のことを諦め切れないなら真司と別れて仁にアタックしてみろ。」

「１つじゃないじゃん。でもありがとう、考えてみる」

「ポイント高いだろ？これでまた１位は俺だな～これで勝つる！！」

「本当だね～次も樹っちに多くポイント入れそう」

「期待しております！！」

気持ちが軽くなった。

樹っちのアドバイスを有効活用しようと心に決めた。

【真司】視点

落ち込んでいたようだった静夏が元気を取り戻したようだ。

聞くと「樹っちにいいアドバイスもらったの」と言われた。

非常に悔しい、樹にポイントを稼がれたことより、本当の恋人に他の者が何かして元気にさせたことが嫉妬心お煽る。

でも、元気になってよかった。

樹には感謝するが悔しいのでお礼などは絶対に口にしないと心に誓った。

そんなことを考えていると秋穂さんが語りかけてきた。

「何々、また静夏の事考えていたでしょ？」

「うっ・・・ごめん」

「彼氏としては失格だね。でもまぁ許してあげましょう。」

「あ～はい・・・何を奢りましょうか？」

「グ〇ンデノンファットミルクノンホイップチョコチップバニラクリームフラペチーノ」

「え？何その復活の呪文？」

「商品名ね。復活の呪文じゃないから」

「よく覚えられたな・・・」

「今どきは当たり前よ～」

「樹も覚えてる？」

「これって指さしてた・・・」

SGの環境に慣れてきたのもあるが、元々から友達として接して来たので普通に会話出来ていると思う。

ただしSG全体でみると、仁が大人しいのと桃姫が加入したことが非常に不安である。

このまま何もなく終わることを願うばかりだ。

【秋穂】視点

真司君とコーヒーショップへ行き奢りの飲み物を堪能していると遠くに仁君・桃花のペアが通り過ぎていくのが見えた。

疑似デートを楽しんでいるのだろう。

ふと樹の事を考える。

樹は私が連れまわさないと家に籠ってしまうので静夏とはお家デート中かなと思ってクスリと笑ってしまった。

静夏も見た目と違いインドアタイプなので強ち間違えてない気がする。

前を見ると真司が「意外と旨いな～」と私と同じものを頼んで飲んでいる。

当初より環境に適応してきた私たちは何処に向かっているのだろうとふと考える。

そして、樹の不安材料と思っている雪美だけでなく、高校時代から樹ととても仲の良い桃花が加わった。

不安材料がまた一つ増えたのが最近の悩みの種だ。

『真司のことは言えないな』と樹の事を考えている私、自分で自分に苦笑いをしてしまった。

次に樹と過ごせる時間が凄く凄く待ち遠しい。