第8話 取決め【犬塚】【工藤】
「犬塚君と二人っきりって初めてだね。」
「確かに・・・」
親友の幼馴染と幼馴染の親友と言う組み合わせの2人は困惑しつつも、節度を守りSGを楽しむこととした。
俺(真司)は仁が何を考えているか本当の恋人である工藤さんに聞いてみた。
「仁は何を考えてSGなんて言い出したんだろう?」
「仁は意外と計算高いから何か目的を持っていると思うわ」
「工藤さんも分からない?」
「分からあないわね・・・」
『静夏との大切な時期をどうしてくれる』と恨み言しか感じない俺からすると怒りしか湧かないし、だからこそ真意を知りたいと思うが工藤さんにも分からないとなると仁に聞くしかないが、彼が答えるとも思えない。
何時もの軽い感じで『ノリで!!』とか言って交わされる未来しか見えない。
「どうせ聞いてもはぐらかされるだけでしょ・・・」
「あ~それは俺も同意・・・」
「分からないものは置いといて、取決めを考えない?」
「取決め?ルールと違うのか?」
「そそ、ルールと違うよ。ルールで『期間中は交換相手を本当の恋人として接し行動すること』てしたよね?」
「だな・・・」
「仁とだとキスもするし・・・あれも・・・」
「なるほど・・・」
「それに『全ての行為は自己責任であるが、期間内に起こったことはお互い不問とすること』て何か都合よくない?」
「何となく工藤さんの言ってる意味は解る」
「でしょ!!自己責任で不問とか明かに行為に及んでも許してねって取れるし、終了後の別れる理由にさせない為の免罪符に感じるんだよね~」
「あ~言われてみればご都合主義的な文言だよな~」
「静夏と付き合い始めたばかりの犬塚君と私がどうこう成るとは思ってないけど、絶対とか言ってるとフラグ立ててそうで嫌だけど、絶対あっちゃ不味いと思うの・・・」
「それで、俺と工藤さんの間の取決め?」
「そそ。間違いが起こらないための取決め」
工藤さんの意見を聞けば、成る程必要だなと俺も感じた。
皆にルールとして『性的行為は絶対だめ』と盛り込んでも意味がない。
二人だけの秘密にされれば俺達には判らないし、入れてしまえばSGの意味が無いようにも感じてしまう。
だから、工藤さんとの取決めなのだろう。
俺から見た工藤さんは親友の幼馴染、工藤さんから見た俺は親友の恋人なのだ。
女性に親友は無いとか言う人はいるが、静夏と工藤さんは間違いなく親友だと俺は思っている。
そんな関係の恋愛トラブルとか大惨事以外の何ものでもないだろう。
取決め
【1】 性的行為はしない
【2】 恋人らしくお互いが下の名前で呼び合う
【3】 本当の恋人を優先する時は一報する
当たり前と言えば当たり前のことなのだが、決めてしまうと少し心が楽に成った様に感じた。
流石に呼び捨てだと本当の恋人に悪いということで、さん付けで呼び合うこととした。
「では雪美さん、これから暫くよろしく」
「こちらこそ、真司さんよろしく」
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