第4話 困惑と罪悪感 【犬塚 真司】【葉山 静夏】

俺(真司)は困惑している。

『恋人交換?スワップゲーム?何それ美味しいの?』である。

恋人の静夏とは付き合い始めてまだ3か月と数日、下の名前ではなく付き合う前から呼ばれていた愛称『犬っち』呼びである。

下の名前呼びしてもらうことが目下の目標の1つだ。

それを含めこれから関係を更に深めていくことを予定していた俺としては『勝手にやってくれ』って思っている。

静夏が『面白そうだね~私たちも参加で!!』と要望してきたのでなし崩し的に参加となっただけだ。

疑似であろうと『他の誰かが俺の静夏と・・・』と考えるだけで気が狂いそうになる。

樹は高校の同級生で親友と呼べる仲と自負している。

『親友にNTRとか・・・』と想像したが、樹は絶対に無いと断言できる。

猿渡も工藤さんにベタ惚れだし、ない・・・と思いたい。


私(静夏)は何を期待してこのゲームに参加したいと彼氏の犬っちも巻き込んで参加したのだろうか?

ユッキー(雪美)と仁君は同じ高校で同級生だった。

彼氏の犬っちは海っち(樹)の紹介で知り合った。

最初はユッキーと仁君、海っち(樹)とアッキー(秋穂)のカップルに挟まれた気の毒なあまり者同士としてお互いにバカップル達の愚痴を言い合っていた。

3か月と少し前に犬っちに告白され付き合い始めた。

まだ付き合い始めたばかりの私たちにとって今は重要な時期なのかもしれない。

でも、恋人交換という馬鹿げたゲームに参加することを私から希望した。

恋人を巻き込む形での参加に罪悪感を感じる。

まだ過去の恋を引き摺っているのかもしれない。

実は高校1年の時に仁君に告白してフラれた。

仁君はイケメンチャラ男に見えるが純情、口癖の様に『本当の恋を見つけるまでは誰とも付き合わない』と豪語していたが、高校2年生の時にユッキーに猛アタックして付き合いだした。

元々は高校2年次に私とユッキーが同じクラスになり仲良くなり、それから、ユッキーは私が仁君を見るために彼のクラスへ同行お願いして付き添っていたたでだったが、そこで仁君は本当の恋を見つけてしまった。

私はとんだピエロであるが、ユッキーが良い子だったので嫌いにはなれなかった。

どうしても諦めきれない私は、卒業式の後に仁君にお願いして仁君にバージンをあげた。

『過去の恋を清算して前に進みたいからお願い』と懇願したら苦笑いしながら『分った』いって後日優しく抱いてくれた。

過去に置いてきた恋のはずだが、疑似でも仁君と恋人に成れることに目が眩んだのだろう。

恋は盲目というが、仁君への恋をまだ捨て切れたいなかった私は多分今も盲目なんだろう。

私は心の中で犬っちに『このゲームが終わったら本当の恋人になる』と誓いを立てた。

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