第2話 ルール解釈 【海鳥 樹】

ゲームにおいてルールを理解することは重要なことである。

『敵を知り己を知れば百戦殆うからず』と孫子の兵法に書いてあるらしいが、ルールと言う前提条件を理解していないと敵以前に足元を巣食われると俺は考えている。

つまりは敵・己よりも先ずはルールの理解が重要ということである。

ルールを理解してから敵・己を知ればよいのだ。

こんなことを考えてしまうから『真面目過ぎる』と言われるのかもしれないが、考えるのが俺だ。


【1】 計3回、2週間ずつ恋人を交換してローテーションすること


2週間×3回×3人ということは、期間は18週の期間ゲームは行われる。

しかし、真の恋人の秋穂の期間は差し引いて考えていいだろう。

つまり、12週が実質の恋人交換の期間であり秋穂との時間は中休みとも思えるが・・・

油断は禁物、秋穂も採点者なのである。

ゲームに勝つ為には彼女に普段と同じに見せつつ評価を上げることを考えるべきだ。

これは中々の難問のように思える。


【2】 期間中は交換相手を本当の恋人として接し行動すること


『本当の恋人として接し行動』というのは秋穂と接するように他の二人にも接しましょうと捉える事が出来るが、二人は秋穂ではない。

二人にはそれぞれに彼女たちに合った対応が求められるのではないだろうか。


【3】 全ての行為は自己責任であるが、期間内に起こったことはお互い不問とすること


『全ての行為』、つまりはキスやS〇Xといった性的行為も含めてということだろう。

大学生の成人男女二人が密室で良い雰囲気になれば間違いは・・・無いと言えない。

疑似恋人期間中は『不問』、しかし、見て見ぬ振りは出来るが、事実は覆らない。

気持ちの問題は難しいからこそ慎重に行動するようしないといけない。

色々な諸問題が発生する懸念があるからこその『自己責任』なのだろう。


【4】 問題が発生した場合は発生が判明した時点で全員に報告し皆で協議すること


ここでの『問題』とは何を指しているのだろう。

最初に考えられるのはやはり性行為を行った場合に起こることだろう。

俺は『妊娠』と直感的に考えてしまった。

そして他にも本当の恋人以外に性行為をしようとすれば拒まれて『レイプ』なんてことも起こるかもしれない。

そして、都合が悪い問題が発生した場合、『隠すな』と暗に言ってるように取れる。


【5】 終了後評価をすること(評価基準等については後日相談)


事後評価はまだ決まっていないので期間中前半位に追々決まるのだろう。

順位付けするのかポイント制なのかどういった方法にするのかまだ分からないが、相手に好印象を与えるようにすれば問題無いはずである。


【6】 期間終了後に問題が発生してもお互いに恨み辛みを持たないこと


『期間終了後の問題』とは恋人と別れたり、違う相手同士がくっ付いたりといったことが起きても恨むなよてことだろう。

俺と秋穂は問題ないはずだ。

NTRとかノーサンキューだし、逆もまた同じだ。


後日皆と話した結果、俺の考えで問題無いようである。

それ以外だと2つの議題で話した。


1つ目は、この6人以外にはどう対処するのか。

話し合いの結果、『聞かれれば答えるが、基本的には言わない』こととなった。

サークルも同じ仲良しグループと周りから思われているので、恋人以外と二人で居ても特に変な目で見てこなだろうということだった。


2つ目は評価基準である。

それぞれ持ち点10で3人で割る形で評価し、3人の合計点で1位、2位、3位と一巡毎に評価するが、途中はあくまで途中の評価で、最後に本当の順位付けをして終了ということとなった。

シンプルで良いし、大逆転もありでゲーム性は高いように感じる。


「スタートは来週からな~S〇Xしとけよ~」


仁らしい言い様ではあるが、確かにその通りである。

秋穂と4週も出来ないと考えると『良いアドバイスだ』と心の中で感謝しておくこととした。

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