スワップゲーム

生虎

第1話 飲み会とスワップ

大学2年の春休み前、後期試験も終わりお疲れ会として仲の良い同じサークルの友達カップル3組が集まり、ある居酒屋で飲み会が催される。

1時間ほど飲んで皆が軽く出来上がった頃、1人が恋人の愚痴を言い始めたことがことの発端であった。


「雪(ゆき)ってさ~俺に対して何だか厳しくない?」

「え?仁(じん)がだらしないだけでしょ?」

「はぁ~普通だよふ・つ・う」

「だらしないよ~」

「何処がだよ~」

「例えばデートの時必ず遅れてくるよね?」

「10分以内には来てるだろ?」

「いやいや、普通時間前に来るのがマナーだよ!!」

「その位良くねぇ?言わせてもらえれば、お前のそういったところが厳し過ぎるって言ってるの!!」


【猿渡 仁(さるわたり じん)】、【工藤 雪美(くどう ゆきみ)】の2人は高校からの恋人同士である。

何時もの何気ない愚痴の応酬がいつも以上にヒートアップして、他のメンバーも巻き込み飛び火していった。


「まぁまぁ二人とも今はそこでストップだ。夫婦喧嘩は二人の時にやってくれ。犬も食わないというだろ」

「ウケる~犬っちがそれを言うとかウケる~」


犬っちと呼ばれたのは【犬塚 真司(いぬつか しんじ)】、「ウケる~」と言ってるのは【葉山 静夏(はやま しずか)】この2人も恋人同士で3か月程前から交際をスタートさせたまだまだ熱々のカップルである。


「でも、解る~樹(いつき)君は真面目だよね~」

「え?何?真面目は誉め言葉だろ?」

「真面目過ぎるからダメって話」

「はぁ~?不真面目よりいいだろ?それに・・・過ぎるってこともないと思うけどな~普通だよ・・・多分」


【海鳥 樹(うみどり いつき)】に「真面目過ぎ」と愚痴を零す【柴田 秋穂(しばた あきほ)】の2人も恋人同士である。


しかし、他のカップルからも愚痴が出たことで更にヒートアップしその場は恋人の愚痴り合いの場と化していった。


「じゃあさぁ~恋人交換して相手の愚痴が正しいかジャッジしてみないか?」

「え?それってスワップってことだよね?恋人同士の問題を他の人たちを巻き込んでって可笑しくない?そんなこととか言うから私が仁に厳しく言っちゃうんだよ!!」

「でもそれって面白そうじゃない?ちょっと興味津々」


仁が皆に提案するのを雪美が窘める。

しかし、ギャル気質の陽キャラの静夏が興味を示した。

酒が入っていたことと、その場のノリで話はいつの間にか恋人交換を皆で行うこととなってしまった。


ルール

【1】 計3回、2週間ずつ恋人を交換してローテーションすること

【2】 期間中は交換相手を本当の恋人として接し行動すること

【3】 全ての行為は自己責任であるが、期間内に起こったことはお互い不問とすること

【4】 問題が発生した場合は発生が判明した時点で全員に報告し皆で協議すること

【5】 終了後評価をすること(評価基準等については後日相談)

【6】 期間終了後に問題が発生してもお互いに恨み辛みを持たないこと


「これはゲーム、単なるお遊びだ皆楽しもうぜ!!」

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