第一章 出会い②
「以上が、現在こちらで
さて、時をほぼ同じくして、ハルミット公爵
レオナール・ティッセル・ハルミットは今年で二十七歳になる若き公爵だ。
「はい」
「ヴィクトル」
「これ、公爵が立て直した後、代理人どうすればいいんですかね……」
と、レオナールの部下ヴィクトルは苦笑い。彼は、ふわふわした赤毛で
「言っちゃ悪いが、
「そうだな。それも、金策のひとつだ。婿入りすることで資金を一時的に流したんだろう。タイミングが悪かったな」
そのレオナールの言葉に、心底同情の表情を見せるのはもう一人の部下マーロだ。短髪黒髪で三人の中では最も背が高い。本人いわく「顔は覚えてもらえないのですが、背の高さで判別されるので困りません」というちょっと地味顔の二十二歳だ。
「まさか、レーグラッド男爵がこんな形でお亡くなりになるとは。ご子息のヘンリー様が成人するまでに領主がいなくなるなんて想像もしなかったでしょうね……それを思うと、今まで足を運んだところは、みな
「立て直し公」という、当人も「そのままだな」とうんざりするような異名をつけられたレオナールは、腹心の部下ヴィクトルとマーロを連れ、この二年半あちこちの領地の立て直しを行って来た。
戦争終結時に、彼の父親である前ハルミット公爵は責任を取る形で彼に
戦争前から
爵位を
「しかし、長女のフィーナ様が仮でも当主代理人って。女性が当主代理を受け入れるだなんて、聞いたことないっすよ。
とヴィクトルが言えば、マーロが答える。
「弟君の容体は
マーロはヴィクトルの
「そうだな。それがなければ、レーグラッド男爵領は……立て直しが必要な状況のわりに、この二年ほどよくやっていると言える。レーグラッド男爵はこの国では
マーロは「確かに」と同意をして、言葉を続けた。
「立て直しの目標がはっきりして動き出す場所が多ければ多いほど、その土地の
「そうだ。その可能性がここにはあった。だが、そのレーグラッド男爵がお
具体的には「それなりの経験者を無条件で婿として
「フィーナ嬢には
と言うヴィクトルの
行く先々で出会う令嬢はみな「立て直し公」をやたらともてはやす。領地運営のなんたるかをこれっぽっちも知らない彼女たちが、
ハルミット公爵家はもともと相当な財を
いっそ、そこは財がない方が良かった……とすら思うのだが『財産を公爵家に残してやるから、代わりにレオナールは王命に
「さすがにこの前の一件は、そこまでやるかとは思ったが」
「あれは、なかなか
ヴィクトルの言い草がおかしかったようで、マーロは「はは」と小さく笑うが、レオナール当人はそれどころではないので真顔のままだ。
「この前の一件」とは、立て直し期間が終わって
「ほんっと、女性を
「好きでこの顔に生まれたわけじゃない」
「うわぁ」
これだから、生まれながらに顔がいい男は、とヴィクトルは言いたげだったが、マーロに「男の
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