第一章 出会い①
さて、話は
「ようやく領地改革計画書が形になったっていうのに、このタイミングでお
この
彼女の父レーグラッド男爵が事故で亡くなったのは、ひと月前のことだった。馬車の車輪の
馬に乗った護衛
ヘンリーは一命をとりとめたが、悲しいことにレーグラッド
男爵夫人であるアデレードは夫を亡くしたことをなかなか受け入れられず、
そのせいで、フィーナは
「それどころじゃないのよ……泣いて暮らしていられるほど、うちの領地は
と二人をそっとしておいて、自分は父親が使っていた執務室で、今日も頭を
戦争で敗北をしたシャーロ王国。あちこちの領地は財政難で破綻寸前に追い込まれ、貴族たちですらひいひい声をあげている。レーグラッド男爵領は王城から遠いが、戦時中に王城から不当な要求をいくつか受けて──それについてはのちに語るが──領地運営が
フィーナがどこかに
「でも……いくら、わたしが立て直し公の立て直した領地を見て来たと言っても……」
過去、彼女は「お父様お一人では大変過ぎます! わたしが立て直し公の立て直した領地を見て、勉強して来ます!」と言ってレーグラッド男爵領を出た。
だが、シャーロ王国は、貴族の女性が領地経営に口を
「うう……ここから先のことを考えると頭が……あら?」
あわただしい足音が聞こえる。それから、聞き慣れたノックの音。「はぁい」と返せば、
「お嬢様! 失礼いたします!」
ドアを開け放したまま飛び込んで来る執事カークは
「どうしたの」
「王城からの手紙でございます……!」
「は?」
こんな
(確かに
今度は一体なんだ、とフィーナは封を切った。下がるように言われていないカークもまた、手紙の中身が気になるようで彼女の様子を
「……つ……」
「つ?」
「ついに……! ついに、夢にまで見た知らせが来たわ! っていうか、これ夢じゃないわよね!?」
手紙から顔をあげたフィーナは
「カーク! ついに! ついにその時が来たのよ!」
「一体……?」
「ついに、このレーグラッド領の立て直しのために『立て直し公』が
フィーナの宣言に目を見開くカーク。
「そ、それは本当ですか……あの、ひとつの領地につき、たった三ヶ月程度
「そうよ! ついに助けに来て下さるんだわ……! ああ、良かった……ここまで
そう言いながら、フィーナの両目からはぼろりと
「よかったです……これで、お
「ちょっと! 行き遅れの話は余計よ!」
などと言いつつ、なんだかよくわからないが二人は
不運にもそこを一人の
そんなわけで、フィーナは興奮冷めやらぬまますっかり「立て直し公にお熱」状態で夜を過ごしていた。
「ああ……こうやって改めて見直すと、本当にすごいわ。一体こういうことは、どういう学びによって身につくものなのかしら。わたしももっと早いうちに教育というものを受けられればよかったのだけど……そうすれば、もう少し立て直し公、あっ、
フィーナはいつもは執務机に保管している数冊のノートを
「これは、サンイーツ
そのノートは、ここ二年ほどの彼女の宝物、かつ、彼女の努力の
フィーナの耳に立て直し公の
よって、フィーナは従兄ラウルと共に視察に
その後も、立て直し公の
「せめて、ラウル
「ああ、少しでもわたしが
立て直し公ことハルミット公爵は厳しい人物だと聞いたことがある。ならば「女性が領地運営に首を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます