第14話 ラウンド

崇と筒井佐知は、無言のままホテルに入った。

崇は、〝スッポンポン〟を飲み、〝夜のプロレス〟のゴングは鳴った。


崇は何度も立ち上がり、計5ラウンドの延長戦を闘い二人は、ありったけの〝毒〟を吐き出した。

裸で眠りにつくころに、佐知は「役作りよ!」と言って優しく崇にキスをして、二人は眠りについた。


午前8時

崇は目が覚めたた。

よこには、筒井佐知が眠っている。

〝スッポンポン〟恐るべし効力である。

朝になっても崇は熱いものがこみ上げ、佐知に抱きついた。

佐知は目が覚めたが「ダメよ、それはオーディションにとっておいて、オーディション終わったらね!」とシャワーを浴びに向かった。


オーディション会場にて、


会場には、10組のカップルがいた。

どのカップルも美男美女で、マッスルな男性もいた。

崇は、会場の雰囲気に呑まれそうになったが、横にいる佐知の満面の笑顔と昨夜の〝プロレス〟が自信をもたせてくれた。


オーディションは、崇と佐知の番になった。

崇と佐知の演技は、愛溢れ、コミカルで、二人の愛情表現が迫真の演技となり、まわりから、頭一つぬけでていた。


二人は、手を繋いで歩いている

「受かったね」

「受かった」

「やったね」

「やった」

長い芝居の下積みを重ねた二人にとって、何にも変え難い記念日となった。

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