第13話 面談

崇と筒井佐知は、会議室のテーブルに向かっていた。

反対側には、精力剤〝スッポンポン〟の担当者がいた。

病室で、筒井佐知にオーディションの話を持ちかけた時は、二つ返事で、同意してくれた。

佐知は、「私ね、そろそろ女優諦めようかな?って思ってたんだよね、もう28歳だし、だから、最後の勝負でやって見る」と言っていた。

担当者から「お二人はお付き合いされて長いんですか?」と質問された。

崇は〝マズイ!〟と思い、おどおどしていると横から佐知が「2年くらいですね、そろそろ結婚の話もチラホラと」とその場凌ぎの嘘を堂々とついた。

担当者も、「なるほど」となにやら、メモしていた。

続けて「実は今日が面談最終日なんですよ、明日10時に2次オーディションありますが、赤坂のスタジオなんですが?」と1次の面談をどうやら、通過したようである。

二人は『大丈夫です!』と声を揃えた。


二人は、帰りの道すがら「やったね!山田くん!

2次オーディションだね!」

「そうだな!〝付き合ってますか?〟の時はドキドキしちゃったよ!助かったよ」

そんな会話をしながら、街を歩いていた。

すると、大型のドラッグストアがあった。

二人は、〝スッポンポン〟が売っているか気になり

中に入った。


〝スッポンポン〟はかなり目立つ位置にかざられていた。

佐知は「山田くん!試してみたら?」とからかった。

崇は、「ダメだよ!相手もいないのに!今夜寝れなくなっちゃうよ!」と戯けると、

佐知は真顔で「アタシで良ければ、相手になろうか?」と潤んだ瞳で問いかけた。

崇は、バックを落として呆然と立ちつくした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る