第10話 新たなダンジョンとチャンネル名

 急に周囲が明るくなった。目を開けると、目の前にはさっきまでいたはずの俺の部屋ではなく、森林が拡がっていた。


「今度は森か……」


 一面に広がる森林に圧倒される。思ったより視界が悪く、太陽の光が木に隠されて薄暗い。ていうか太陽があるのか。


 二回目になって余裕が出て来た事でわかったが、このピリピリした空気はかなりヤバイ。それとも一回目よりも単純にここがヤバイだけか?


「こりゃ奇襲に気を付けないとダメだな」


 警戒心を高めていると、前回のような目玉のようなカメラが俺の傍にやってきた。来たな、目玉親父!(違う)


‘‘こんばんはー!‘‘


‘‘待ってた‘‘


‘‘一週間長い‘‘


‘‘メェくん待ってた♡‘‘


‘‘メェくん?笑‘‘


「こんばんは。えっと、来てくれてありがとうございます。えっと、メェくんってもしかして俺ですか?」


‘‘緒日辻おひつじなのと髪が羊さんみたいなのでメェくんなのです♡ 私以外のカスどもは呼ぶなよ?‘‘


‘‘ヤバイの沸いてない?‘‘


‘‘つまりメェくんと呼べと?‘‘


‘‘あ゛ぁ!?‘‘


‘‘草‘‘


‘‘メェくん♡‘‘


‘‘あ゛ぁ!?‘‘


 何この状況? 何か凄い事になってるんだけど……。


「えっと、喧嘩はやめましょ? リスナーさん、渾名ありがとう。幼馴染以外から渾名って呼ばれた事ないから新鮮で嬉しいよ」


 なるべくみんなが収まるように笑顔で返すすると急にコメント欄が静かになった。


 みんな無言になったんだけど……。ま、まぁいっか。


「あ、そうだ! チャンネル名も発表したいと思います! 本当はすぐに変えちゃうつもりだったんだけど、せっかくならみんなの前で発表したいなって。俺の名前じゃちょっと恥ずかしいのでささっと発表しちゃいますね」


 コメント欄がチラホラと回復してきたところで深呼吸をする。よしっ。


「チャンネル名は『おひつじチャンネル』です! 捻りも何もないのですが、渾名がメェくんって事でなんかちょうどよくなった気がしますね。改めてよろしくお願いします。ちなみに平仮名にした理由は漢字だと一発で読まれる事が少ないからです」


‘‘いい‘‘


‘‘ピッタリじゃん‘‘


‘‘メェくんが笑顔なら何でもよき‘‘


‘‘登録させていただきました! 頑張ってください!!‘‘


「登録してくれた人ありがとう。んじゃスタートしますか。と言ってもどこに進めばいいんだ?」


 何とか話がまとまった。これだけでちょっと疲れてしまったが、これでみんなが仲良しになってるなら安いもんだ。ちなみにスマホは相変わらず使えないが、カメラに音声で指示を出せば多少の管理画面操作は出来る。無事にチャンネル名を変え、一息ついたところでまずは周囲を見渡す。


 辺り一面見渡す限り森である。野鳥の鳴き声が聴こえるような一見のどかな森に見えるが、先程からピリピリとした雰囲気が解消される事はない。


 それにしてもダンジョンの時はまだ分かれ道があったとしてもどちらかに進めばよかっただけだったが、どこにでも進めるとなると逆に選ぶのが難しくなる。


「……こっちがよさそうなの」


 ずっと無言だった狐火が唐突に森の奥へ向かって指を指す。


‘‘あ! 狐火ちゃんだ!!‘‘


‘‘やっほー!‘‘


‘‘今日も可愛い‘‘


 リスナーのコメントに狐火が気付くと笑顔で手を振っていた。なんか俺より慣れてない?


「ちなみに何でこっちがいいんだ?」


 狐火が指した方角でもよかったが、理由が気になったので訊ねる。


「ただのけはいなの。こっちにてきがいるなの」


 まぁダンジョンだし、ただのピクニックって訳ないもんな。


「了解。つまりはこっちに進めば敵さんが待ってて倒しながら進めば先に行けるんじゃないか? って事だな」


「そうなの!!」


 まぁどこへ行ってもいつかは敵と戦う事になる。それならまだ相手は気付いてないだろうからこちらから近づいてどんな敵なのか確認出来た方がいいだろう。ヤバそうだったら一旦逃げればいいだけだしな。


 狐火の頭を撫でると、狐火が先導するように歩き出した。俺はその後に従って動き出すのだった。


――――――――――――――――――――――――――――


 ダンジョン配信スタートです! ここからバシバシ進めていきます!! 二人の活躍を楽しみにしていてください!!


 そしていつものお願い。(しつこいと思うかもしれませんがお付き合いください)


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