第8話 ざまぁみろだ
部室で着替えて、体育館に向かう。なお、その間俺と先輩は終始無言だった。ただ、先輩はやたらとスマホを弄っている。その表情から察するに、何か余計な事をしているようだ。
そして体育館に入る。すると体育館の中には部員だけではなく、部活と関係ないような学生達がたくさんいた。しかもそいつらはガヤガヤと騒ぎながら誰かを待っているようだった。
これはどういう事だってばよ!!
何でこんなに人がいるんだー? これからどちらかがわからせられちゃうのに……。こんな見世物みたいな行為、先輩も本意ではない筈だ。そうですよね?
「よくみんな集まってくれたな」
先輩は大きく手を広げてみんなに大声で声をかけた。
はい、知ってました。スマホ弄ってたしな。うん、先輩が集めたんでしょうね。
そしてその中には、呼ばれたのか噂を聞いて来たのか、真帆もいた。
すると、ちょうど俺が真帆を見たのと同時に真帆もこちらを見たのか、真帆と目が合った。その表情は俺の事を心配そうにしてたので手を振って安心させとこう。
……何で固まるんだよ?
「イチャついんてんじゃねぇぞ?」
先輩の顔が引き攣っている。
「ただ手を振ってただけですが? 先輩は手を振る相手もいないんすか?」
「んだとゴラァ!!」
掴みかかってこようとする。周囲に悲鳴が聴こえてきたが俺はそんな事は気にしないでサッと避ける。この程度の速度、今の俺なら目を閉じていても余裕で避ける事が出来る。
「なっ!?」
驚く先輩。しかも先輩だけではなく周囲のやつらもざわめいていた。
全く、このままじゃ埒が明かない。話を進めよう。
「さっさと勝負しましょうよ。何で勝負をするんですか?」
さっさとケリをつける。もう先輩は明確に敵なのだ。もう容赦するつもりはない。流石に殴ったりするつもりは今のところないけどな。
「チッ、ちょっと有名になったからって調子に乗りやがって。もちろんワンオンワンだ」
有名って配信者になった事に対してか? 別にそんな有名人じゃないと思うが。
まぁいい。勝負はわかりやすくバスケの一対一か。まぁ無難な選択だ。これでツーオンツーで先輩と同じチームとか言われたらどうしようかと思った。
「いいですよ。ちなみにただ勝負するだけなんすか?」
先輩の性格上それはないと思っている。
「バスケ部をやめろ。そして真帆にも近づくな」
バスケ部はともかく、いやともかくでもないが、何で真帆に近づくななんだ?
「俺と真帆の関係に先輩は関係ないと思うのですが」
あぁ、何となく俺に敵意を向けてきてた理由がわかってきたな。ハァ……。
「うるせぇ。俺の女なんだ。お前如きが近づいていい女じゃねぇんだよ」
「俺の女って言ってますけど付き合ってるんすか?」
俺の問いに対して先輩は無視をしてくる。意味がわからねぇ。
こりゃ真帆に直接聞いた方が早いな。
「真帆ー? お前、こんなのと付き合ってんのか??」
「こ、こんなのだと!?」
先輩が何か言ってるがとりあえず無視無視。
体育館中に響くほどの大声で真帆に訊ねる。訊ねられた真帆はいきなりでびっくりしているが、すぐに不機嫌そうな表情を見せた。
「そんな訳ないじゃない! 誰だか知りませんけどあり得ないよー!! しんちゃんのバカー!!」
バカは余計だろ。何で俺が怒られなきゃならないんだ。それにしても付き合ってないと……。まぁわかってたけどな。ようはただの嫉妬かよ、くだらない。
「だってよ?」
勝負の前に公開処刑に近い形で断罪してしまったが、いいのだろうか?
まさかの展開に先輩は涙目になって身体を震わせていた。それなら最初から嘘つくなよ…。惨めすぎる。
「うるせぇ! 俺が勝ってお前をバスケ部からやめさせてやる!!」
まぁそれしかないもんな。なら俺はーーーーー
「ならそっちが負けたらボーズっすよ。俺が明日バリカン持ってくるんで刈り上げてやります」
先輩は結構なイケメンで髪も相当手入れしているのがわかる。それを刈り上げたらどうなるのか今から楽しみだ。
「お、おう。いいだろう!! 俺が負ける訳ねぇからな」
まぁ先輩が上手いのは事実だからな。今までの俺だったら間違いなく負けてただろう。だが、今の俺は違う。
今の俺は他の人達と見えている世界が違いすぎる。
そして予想するまでもなく、俺の圧勝だった。これでもかってくらいに完膚なきまで叩きのめした。あまりの実力差に騒いでいた有象無象も静まり返っていた位だ。
そして翌日、バリカンを用意した俺を見て、先輩が泣きながらやめてくれと懇願してきたが、サッパリと丸坊主にしてやった。
ずっと地味な嫌がらせを受けていたからな。ざまぁみろだ。
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あっさりざまぁですみません。あまり長々とするとメインから離れすぎてしまうので日常? 回はここまで。次からダンジョン配信に戻ります。
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