自己診断

 SNSで、友達から診断テストのリンクが送られてきた。

 なんでも、『本当の自分がどんな性格なのか分かる』らしい。

 好奇心に駆られてリンクを開き、提示された選択肢を選び続けること10分強。それから少し間があって、結果が読み込まれた。


『あなたは、《さっぱりした性格》の人です!

 変なこだわりを持つこともなく、常にフラットな目線でいられる自立した精神の持ち主といえるでしょう』


 へえ、そうなんだ。

 結果を共有しがてら、別の人の診断結果をチラ見する。

 診断結果は思ったより種類があって、見ているだけでも楽しい。


『リンク先の診断やったんだけど、《執念深い性格》って出た、、、

 あんまり言われたことないけどそうなの? 教えてフォロワー!』


 ちょっと文句みたいなことを言ってる人もいたのが、面白かった。


『やれって言われてた診断やったぞ! でもなんか結果気に入らん』

『なんか同じ診断の話多いけど、いい結果の人少ないね?』


 そんなコメントもいくつか見かけた。気になったので見返してみたけど、確かにこの診断は辛口の結果が多いみたいだ。

 それに今気づいたけど、私と同じ《さっぱりした性格》という結果が出てる人をなかなか見かけない。

 私の結果、けっこう珍しいのかな。気持ちが浮足立ったときだった。


『知人が《さっぱりした性格》だったって絡んでくる。だる』

『《さっぱりした性格》のやつ大体さっぱりしてなくて草』


 そんなコメントが目に入ってきて、頭が冷えた。


『自称・《さっぱりした性格》さん笑笑』


 それを目にして、たまらずコメント主のアカウントを開く。

 最新のコメントに例の診断結果があった。《こだわりの強い性格》。

 こだわりが強いんだって。なるほどね。思わずせせら笑った。


 タイムラインを開く。すいすいとコメントを流していく。

 一度スクロールを始めたら、もう止まらなかった。

 そんな時、一つのコメントが目に留まった。


『最初は《真面目な性格》だったのに、もう1回やったら《楽観的な性格》になった笑笑

 どっちやねん笑笑』


 猛烈な不安が襲った。衝動のままに、診断のリンクを開いた。

 提示された選択肢を選び続けること10分強。それから少し間があって、結果が読み込まれた。


『あなたは、《こだわりの強い性格》の人です!

 一度こうだと思い込んだら、なかなか意見を変えることができない人です。たまには人の意見も聞きましょうね!』


 診断結果は共有しなかった。SNSを閉じた。

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