if クリスマスは今年にやってくる

まえがきっ!


このお話は、物語終了後のif物語────つまり、アークくんが推しの目の前で散ることに失敗し、なんだかんだ生き残ってしまった後のお話。


これがifになるかならないかは、読者の皆様次第です。


それでは、ほんへ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「雪、ですねアーク様」


「ほんとだ。生きている間に見られるとは思わなかった」


 12月25日。前世地球ではクリスマス、今世異世界では『聖夜祭』と呼ばれる、特別な日。そんな日に、ふと夜空を見上げたら、はらり、はらりと雪が舞い落ちる。


 この世界では、雪という天候は非常に珍しいらしく、マジで数十年単位で降らないし、なんなら何百年と降らない時期もあるらしい。


 こんな特別な日に、雪も降るなんて、ラッキーだなーなんて、漠然と思ってしまう。


「……?」


 ふと、右腕に温もりと少しの心地よい重さを感じた。横を見ると、目を閉じたリオーネが俺の腕に両腕を絡ませており、肩に頭を乗せていた。


「リオーネ?」


「アーク様。私、この日はアーク様と共に居られることに、物凄い幸せを感じております」


「……うん、そう、だな」


 ぶっちゃけ今まで聖夜祭とか興味無さすぎて、ずっと鍛錬とかにあててたけど……こうして、何らかの奇跡が起きて生き残った────いや、生き返った俺だって、こんな日が来るとは思わなかった。


 晴れて恋人となり、身も心も彼女のために捧げると誓った俺。確かに、この幸せは生きていないと味わえない。


「俺も、幸せだよリオーネ」


「アーク様……」


「リオーネ……」


 瞳と瞳が合わさる。綺麗な紫色の瞳に吸い寄せられ、自然と顔が近づく。


 こつん、と額が優しくぶつかり、これから何をするかの意図を察したリオーネは、ゆっくりと瞼を閉じて軽く顔を上げた。


 そして、唇と唇の距離が0に──────


「おーいご両人ー。これから皆で遊ぶって言うのに何私たち抜いてイチャコラしてんだー」


「贔屓はんたーい!私達も平等に愛せー!」


「流石正妻のリオーネさん……抜け駆けに余念がありません……!」


「アークー?もちろん、私たちにもやってくれるのよね?」


「…………」


 こちらを見つめる四人の色とりどりの瞳。じとー、と穴が空くほど見つめられ────ているにも関わらず、俺はリオーネと軽く唇を触れ合わせた。


「「「「あー!!」」」」


「ユウラシアさんっ!私達も!んーまっ!んーまっ!」


「ちょ!?テレジア!?」


「よーし、全員揃ったし遊び行くか。今日くらい楽しく遊んでも誰も怒らんだろうし」


 なんだかんだ、ちゃんと聖夜祭を楽しむのは今年が初めてだ。どんなことをしようかと、今から胸がワクワクする。


「ちょ、無視!?」


「じゃあ私左腕貰うもんね!」


「じゃあ私かたぐーるま!」


「え!?じゃ、じゃあ背中です!」


「あ!完全に出遅れちゃった!」


 ヒシッ!(左腕に抱きつく音)ピトッ!(背中に張り付く音)ドン!(ジャンピング肩車の音)といち早く行動に移した三人に対し、行動が出遅れたレイル。


 リオーネに告白したあと、何か知らんがいつの間にか恋人が4人増えていた。みんなには惹かれていた部分もあったし、なんなら二人は初恋相手だったので、特に断ることなく受け入れた。正妻はリオーネ。


 恐らく、これは俺が死んでいたら見られない光景。それを思えば、人生最大の目標を失敗したことは良かったと思える。


 メリークリスマス、今世の俺。俺は今、すっごい幸せだ。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クリスマスプレゼントは有馬記念大勝利でした。ありがとう豊さん。


現在、限定近況ノートにて、この作品の結末に関してのアンケートを取っております。期限は第二章終了までです。


私は今日、名古屋のウ○娘リアル脱出ゲームに参加しますので、もしあったらよろしくお願いします。


それでは皆様、よいクリスマスを!メリークルシミマス!シングルベールシングルベール!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る