第4話
………ドユコト?
ん……あれ……実験成功……?なんで……?
思わず頭の中にスペキャが登場してしまう。
「私としては、あまり『分からない』という事象を放置したくは無いのだが、流石に『個人によって効き方に差があります』にはお手上げだ」
そこまで言うと、テレビの画面を消したアリアナ。それを見て部屋の電気とカーテンを開けた。
「何か、君の体に外敵要因があるとしか思えないのだよ。心当たりあるかい?例えば、人類史上初めての浄化による異能作用とか」
「………………」
一応、彼女に言われて考えてみる。
まず、どうして魔法が発動せず、俺の体が七色に光ったのかを考えてみる。
シンプルに考えるのなら、何らかの原因で水分子の魔法陣が分解されたということ。これなら、身体が強化されず、分解された水分子がたまたま色んな色に発光するという魔法陣になり、俺が光った。
だがしかし、魔法陣というものはそんなホイホイと分解されるものじゃない。俺がリオーネに対してやった、直接魔法陣に攻撃して割るとか、魔物の攻撃や、瘴気の汚染などで時間かけて分………解…………。
「あ」
そうだ。確か魔法陣は瘴気の汚染とかでも分解される。そして、俺の体には今までいろんな人から吸い取ってきた瘴気が蓄積されているのだ。
それなら、俺に身体強化の効果が現れなかったのも納得だ。
「あー……多分そうですね、浄化がちょっと悪さしてるかもしれないですね」
「ふうむ。やはりそうなのかい?」
「はい」
まぁ、正直にそんなことを伝える訳には行かないので、浄化のせいだということにしておく。
「あいわかった。とりあえず、君に関する強化薬に関する推測は全て破棄しておくとするよ」
「なんかすいません」
「いいさ、研究とは、こうしたことも積み重ねて成功するものだからね」
「明日はユウラシアくんに頼みに行くかねぇ」と言いながら伸びをするアリアナ。その際にぶるんと揺れた豊かな何かを目にしないように、自然と目を逸らし空になったコップを洗面台に置いた。
「そうそうアーク君。君からの頼まれ物、明日の夜には完成するから受け取ってくれ」
「!もう完成ですか。頼んだの今日ですよ?」
「私を誰だと思っている。アリアナさんだぞ?」
確かに。思わず納得してしまった。
「それでは、また何か君に協力して欲しいことがあったらお願いするよ」
「見送ります」
荷物を纏め終わり、帰ろうとする彼女を玄関まで送るため、彼女の方へ向かって歩き出した瞬間────
「────!」
────ぐにゃり、と瘴気の副作用による目眩が唐突に俺を襲う。歩き出した瞬間ということもあり、足をひっかけてバランスが取れなくなった俺はアリアナへと倒れていった。
「────ちょっ、おわっ!?」
「んぶっ」
彼女を巻き込むような形で地面へと倒れ込んでしまう。ドタドタ!と彼女が持っていた荷物が勢いよく地面へと落ちる。
せめてもの男の意地で、アリアナへと倒れ込んだものの、急いで彼女の背中へ腕を回しぐるりと反転。そのおかげで背中を思いっきりぶつけてしまった。
「んぶぶっ!」
「んっ……ちょ、ちょっと君……」
衝撃で、口から空気が漏れ出たが何やら少し違和感。なんでか知らないけど……柔らかい?
ポンポン、と肩を叩かれたため、腕を解く。すると、彼女の何かに押しつぶされていたため真っ暗だった視界一面に、彼女の豊かな胸が────
「…………ん?」
「………君」
恐る恐る目線をゆっくりと上へ上げる。すると、そこには顔をこれでもかと真っ赤にしたアリアナがいた。
「………………やっべ」
「てっきり、狙っているのは仮パートナーのあの子だけだと思っていたのだがね………けだもの」
「いや……その、わざとじゃないんすよ」
瘴気による副作用何すよ、とは言えずに気まずい空間が流れる。
その後、ぷんぷんと怒るアリアナに、これから好きなだけ実験に協力するという約束を取り付けて何とか許してもらった。
アニメでは見ることがなかった彼女の恥ずかしがる姿は、不謹慎だけど可愛いと思ってしまうのだった。
あと、けだもの発言にはちょっぴりドキッとしました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新作投稿しました!是非是非読んでください!
『神殺しのユグドラシル』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます