第2話
彼女が渡してきた薬品だったのだが、飲んだ瞬間は何事もなく、特に身体能力も上がったという感じはしなかったのだが、徐々に徐々に体が七色に輝き始めた。
その結果、朝からエイリ先生に「流石に授業の邪魔」と言われ、午前中は保健室にて過ごすということになってしまった。
それのせいで、いつもはべったりのリオーネも流石に近づきにくかったのか、スキンシップは控えめだった。
時間が経つ事に、輝きは収まり始め、今は顔が何とか見えるくらいになっている。
「あ、アークさん……一体何が……?」
「んー……まぁ、別に悪いことではないと言ってはおこうか」
昼休み、エイリ先生自身が確認に来て、「まぁ……これだったら……うん、いいだろう」みたいな感じで外に出るのを許された。
最初は皆「うおっ!?」みたいな感じだったが今では慣れて俺を気にしないで各々昼ごはんを食べている。
そして、今日初めて会ったレイルとシアンが俺を見てビックリしているということだ。
「今日リオーネさんが一人で珍しくいたから、何事!?と思ったけど……アークくんがこれじゃあ確かに近づきにくいわね」
「リオーネさん、寂しいって言ってましたからね」
「ちょっ!?」
「ふーん?」
二人からの思わぬ言葉に、わたふたと慌て始めるリオーネ。その事を聞いてピクリと眉を反応させる俺。
全く……こういう所が可愛いんだからもう。
「あ、光が収まった」
リオーネへと顔を向けると、赤くしている彼女と目が合う。だがしかさ、恥ずかしさからか直ぐにフイッと顔を背ける。
「こっち見て」
「今は……今はおやめ下さいアーク様……っ!」
「お、始まったわねイチャイチャが」
ご飯が進むわー。と俺らのやり取りをおかずに昼飯を食べ始めるレイルを横目に、リオーネの左手を握る。
その事にビクッと反応しながらも、しっかりと手は握るリオーネ。ちゃっかりしているな。
「ほら、こっち向いて。リオーネの顔見せて」
「もうっ、本当に今はおやめ下さい!」
結局、この後中々リオーネは顔を見せなかった。少し強引にしても良かったが、人目もあったし今日はやめておいた。
「…………いいなぁ」
「はぁ!」
「っぶね!」
放課後、ユウラシアから模擬戦の誘いを貰ったため、いつものメンバーを観客に、第8訓練所の地下スペースで組手を行っている。
前までは千日手で、お互いに決定打がない戦いであったが、今回は明らかな勝敗が着くことが決定している。
ユウラシアは、新しくマシンガンだけでなく、剣も使うようになり、マシンガンを右手に、左手に剣を持つどっかの誰かと似ているスタイル────というよりも、俺と似たスタイルとなった。違うのは銃がハンドガンかどうかである。
更には、師匠との一週間、地獄の金剛力ブートキャンプを行ったため、実力がメキメキと伸び、俺が防戦一方となっている。
ユウラシアの横振りを何とか躱し、苦し紛れに銃弾を放つも、何故か知らないが顔にあたる一歩手前で急速に減速し止まった。
「はぁ!?────いや!俺のヤツか!」
「当たり!」
一瞬驚きはしたが、すぐさまユウラシアが使ったからくりに気づいた。あれは、俺がよく使う遠距離攻撃を防ぐ風防壁魔法だ。
一応、これは俺のオリジナル魔法となっており、俺から直接教わったりしない限り、使うことは出来ないが……俺がさっき一度使ったのを見て学習したのか。
「ごめんねアークくん!勝たせてもらうよ!」
「────ク、ソがぁぁぁ!!!」
俺のことはさっさと追い抜いて貰わなきゃ困るとは言ったが、早すぎんだよぉぉぉぉ!!!
そして俺は、マシンガンにより蜂の巣にされたのだった。
「あー、負けた負けた」
床に仰向けになり、天井を見つめながらそう呟いた。金剛力ブートキャンプ……俺も久々に受けようかな……。
ふぃー、と息を吐くと、影が出来る。
「お疲れ様でした、アーク様」
「リオーネ……かっこ悪いとこ見せちゃったな」
「いえ、そんな。凄く、かっこよかったですよ」
「……ありがとう」
勝者の姿を見る。ユウラシアは、物凄くテンションの上がっているテレジアとラグネルにもみくちゃにされているのだった。
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Q.どうしてこの作品はハーレムタグを付けてないの?
A.タグ枠が足りねぇんだ。すまねぇ
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