第11話

「……ん?あれ、その子、知らないの?」


「………?らしいですね」


 そのことを聞いたミオリネさんからも不思議そうな声が聞こえた。


 俺は英雄じゃないため、どのタイミングで英雄であることを知らされるかは知らないが、普通は見つけたタイミングとかで言うんじゃないのか?


「んー……んー……まぁなんでその子が知らないかは分からないけど、言っちゃって大丈夫よ。別に、隠しているわけじゃないし」


「分かりました。それじゃあサクッと伝えますね」


 では、と言って通話を切る。一体なぜユウラシアがこのことを知らないのか少しだけ気になるが……まぁあまり重要じゃないな。


 ということで、ユウラシアについて英雄とは何なのかを説明し、学園長が戦えなくなったその時は、お前が英雄として、人類を引っ張るんだということも伝えた。


「僕が……学園長と同じ……?」


「いや、同じでは無い。お前は、歴代最高の英雄となるんだ」


「他の人と違って、キミの異能は強化学習体。死ぬその時まで、体が永遠と学習し強化する。キミには限界なんて存在しない────だから、無限に強くなれる」


「無限に……」


 ちなみに、俺がなぜユウラシアが英雄か知っているかと言うと、勿論原作アニメで知っていたのもあるが、普通に機関の人に聞いたからである。


「さ、それじゃあ訓練を始めましょうか。私なんて、簡単に超えてもらわないと困るよ、英雄クン」


「……アークくんと似たようなこというだなぁ」


 まぁ師弟だからね。よく言うでしょ、師匠と弟子は似るって。









「ふぅ………」


 アークくんとテレジア(呼び捨てで呼ぶことを強制された)が観客席に行ったのを確認してから、深く息を吐く。


 今日の訓練の相手は、前にアークくんが話していた三人いる師匠のうちの一人。つまり、アークくんよりも強いということだ。


 油断は絶対にしない。昨日のアークくんとの戦いで、身体が何十倍にも強くなったという確信はあるけど、あの人からアークくんよりも、強い圧を感じる。


 ……これが、Sランク最高峰。確かに、アークくんが自分のことを最弱と言いたくなる気持ちも分かる。


 でも、折れてはいられない。彼女を────テレジアを守りたいから。


 一目見たいその時から、綺麗で、可憐なあの子を護ると誓ったから。


「よろしくお願いします!」


「良い元気のある声だね。強くなりたいと、本気で心から願う男の子の目……うん。アークくんそっくり」


 エフェリオネさんの指輪が瞬き、武器がその手に握られる。


 それは、全長が3ほどある、巨大なスナイパーライフルだった。


「まずは小手調べだよ」


「────消えっ!?」


 先程まで目の前にいたエフェリオネさんの姿が消える。一瞬慌てたけど、微かに目で終えたことと、カラクリがプレッシャーの強弱ということに気づけたから、ギリギリ反応して躱すことが出来た。


「ぶなっ!?」


「お、やるね。ちなみに、アークくんは最初、コレは避けれなかったよ」


「そりゃそうでしょ」


 外野からアークくんの声が聞こえた。


 新しく見た技術に、急激に思考が加速し情報の整理をし始める。


 さっき一瞬消えたように見えたのは、垂れ流していた強者のオーラとも言うべき『圧』を、蓋をするかのように無くしたからだ。


 それのギャップに、一瞬脳が追いつかず、消えたように錯覚してしまったが……昨日のアークくんとの銃弾を避ける学習が生かされ、ギリッギリ目で終えることが出来た。


 初見殺しもいいところである。アークくんが何歳の頃これをやったのかは知らないけど、避けれないのも仕方ないだろう。


「それじゃ、ちょっとだけスピードあげよっか────金剛力、二倍」


「うえっ!?」


 ちょ、はやっ!?え!目で追えない!?


 翻弄するように僕の周りを走り回るエフェリオネさん。具体的に言うと、目で追えはするのだが、一瞬のプレッシャーの切り替えにより消えたように錯覚するのを利用して縦横無尽に動いている。


「まずは一本」


 コツん、と後頭部に銃口が当てられる感覚。ま、全くもって反応できなかった……。


「今日は、こんな感じで行くから……ま、折れないように心を強く持ってね」


「…………」


 思わず冷や汗が流れてしまった僕は悪くない。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

す○家の坦々鍋、あれ美味しすぎんか?お店に寄ったらいつも食ってる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る