第10話

「一応聞いておこう。テレジアはなんでいる?」


「乙女の勘です」


「………なるほど」


「「なるほど!?」」


 俺が納得したかのように頷くと、師匠とユウラシアがびっくりしたように俺を見る。


 違う違う。俺と納得した訳じゃないよ。でも、女の子の勘はマージで凄いから。黒子○バスケ見ろ。


 まぁ本音は深く考えるのがめんどくさかったからだけどな。


「あー……一応言っておくけど、今日めちゃくちゃユウラシアボロボロにされる予定だけど、幻滅したりしない?」


 一応、ユウラシアの事も考えて小声でテレジアに聞いてみる。ぶっちゃけ、テレジアがユウラシアに対して幻滅するなんて光景は全くもって浮かばないが。本当に念の為である。


「愚問ですねアークさん。そんなの、ありえないですね」


「ん、それなら良かった」


 決意の籠った瞳を見て安心する。これで公式カプが壊れたなんて知ったら、罪悪感で死にそうになるからな。


 テレジアとの話も終わったことなので、二人に師匠のことを紹介する。


「今回、ユウラシアの強化に協力してくれることになった、俺の師匠。エフェリオネ・ドレッドノートさん」


「初めまして。英雄クンと、かわい子ちゃん!エフェリオネ・ドレッドノートです!アークくんとの付き合いは10年くらいで、ずっとアークくんの師匠やってます!」


「初めまして。ユウラシア・ワーグナーです」


「お初にお目にかかります。エフェリオネ様。テレジア・マニアと申します」


 ユウラシアはぺこりと、テレジアはカーテシーをして師匠へと頭を下げる。


「あの……ところでなんだけど、僕が英雄ってなに?アークくん、昨日も言ってたよね」


「「………ん?」」


 ユウラシアの言葉に、俺と師匠が揃って首を捻る。


「……ん?……あれ?聞いてない?」


「聞いて……?そもそも、英雄って学園長の事じゃないの……?」


「「………………」」


 パチパチ、と俺と師匠は目を合わせる。そして、思考が重なり同時にこくんと頷いて俺は端末を出した。


「二人ともちょっと待ってくれ」


「ちょーっと上の人に話聞くから」


「え?うん」


 端末を操作して、電話をかける。その相手は、俺の母親代わりであり、機関でも上の立場にいるミオリネさんである。


 プルルルル、とコール音がなり始める。師匠も、端末を持っている俺の右腕を両手で掴み、支えにしてからぴったりと声が聞こえるようにくっついた。


「あいもしもし……どしたのアーク……」


「────寝起きだろアンタ」


 端末から聞こえてきた声は、明らかに寝起きだと分かるようなふにゃふにゃ声。


「ミオリネさーん。あんまりヤケ酒も程々にしないと、早死にしちゃいますよー?」


「別に、今回はヤケ酒じゃなくて、新しい発明品の開発で────待って。その声はエフェリオネ?」


「はい!久しぶりですミオリネさん!」


「あらー!久しぶりじゃないの?元気してたー?」


 このままだと恐らくミオリネさんと師匠の世間話移ることは確定するので、早々にこの流れはぶった斬ることにする。


「話はあとに。用事が終わったら師匠が電話すると思うのでその時に。それで本題なんですけど、なんでユウラシアに次代の英雄だと伝えてないんです?」


「……………ん?」


 この世界での『英雄』の定義とは何なのか。それは、人類において『七災厄』と呼ばれる七体いるガイア級を倒せるかどうかである。


 基本、いつもの戦場ではエリア3にて出てくる魔物はギガトン級まで。そこまでだったら俺たちSランクでも余裕でいけるのだが、ガイア級は次元が違う。


 それぞれが天使の名を冠しており、下手な攻撃は一切通じず、マトモな実力がないやつだったら相対しただけで圧に当てられてショック死する。


 また、このガイア級は七体以外確認されていない。過去、何人の英雄が屠ってはいるが、数十年経てば復活するらしい。


 簡単に説明するなら、ア○ガミみたいなもんである。あいつらコア抜き取っても復活するし。


 だが、七災厄のどれかを倒すことが出来れば、数年は戦いのない平和な時代が訪れる。現英雄の学園長も、三体のガイア級をぶっ倒している。


 さて、ここまで長々とガイア級について説明したのは理由がある。それは、リオーネがアニメで死んだ原因が、このガイア級だからである。


 七災厄、暴食のミカエル。こいつが、リオーネを殺し、アニメでのラスボス的立ち位置にいる憎きクソ野郎である。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オハンヨ〜

へへっ……我慢できずにアマ○ンでポ○モンブラック2買っちった……へへっ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る