第9話
そして次の日。教室に入って早々に、クラスメイトから「よくも騙したなぁ!!」とまぁちょっと身に覚えのない(すっとぼけ)責められはしたものの、サイレンもなることもなく放課後。
ユウラシアに待っててくれとメールを打って送ったあと、タイミングよく師匠からメッセージが届いた。
『校門前に着いたよ!待ってるね!』
との事だったので、気持ち早歩きで校門近くにワープで移動して師匠の姿を────いた。
というか、なんなら大きく手を振りながらこちらに走ってきていた。とりあえず、手は振られていたので、俺も振り返しておこう。
「久しぶり!アークくん!」
「お久しぶりです師匠────むぐ」
「ぎゅー!」
俺と師匠との距離が2m程になった瞬間、まさかのダイレクトアタック。抱きつかれ、頭を抱え込まれるように腕の中に誘い込まれた俺は、身長差も相まって、見事師匠の豊かな双丘に顔面を
勢いで、若干上体を逸らしたが、その程度で倒れるほどやわな俺じゃない。男なのでそれはそれとして顔に当たる何かの感触を若干楽しみつつ、師匠の腰に腕を回して持ち上げる。
普通の男だったら、「むぐっ!?」からの「い、息が苦しっ……!」というラノベ状況なのかもしれないが、まぁ俺は慣れてるし、息が数分吸えなくなった程度で死ぬ体じゃない。
最初はめちゃくちゃテンパったけどね(小声)。
「こんにちは。挨拶の前に抱きつかないでください」
「無理!」
「そうですか」
そんな満面な笑みで言われたら、もうそれしか言えなくなってしまう。この人俺の事大好き過ぎでしょ……。
ゆっくりと師匠を地面に下ろすと、今度は俺の方が見下ろす形となる。俺の今世の身長は175センチ程。師匠との身長差はおよそ15センチ程あるため、鼻の先が丁度師匠の頭のてっぺんがある。
「それでは行きましょうか。案内します」
「うん!にへへ……」
なんですかその鳴き声可愛い。
歩き出すと、控えめに俺の肘あたりを掴んでくる師匠。この人まじで可愛いな。リオーネが居なかったら俺この人に陥落してたわ。
ちなみに言うと、師匠は原作アニメには登場していない。実際には名前だけ出ていた状態である。
アニメにて、主人公であるユウラシアが現在生きているSランク全員を知るシーンがあるのだが、ちょろりと出ていた。それだけである。
ちなみに、なんで俺がそのことを覚えているのかと言うと、そのシーンを一時停止して全員の名前を覚えたからである。
いずれ出る!と思っていたけど、そのまま最終話迎えたから少し悲しかった。わざわざメモもしたのに。
「アークくんから見て、噂の英雄くんはどう?」
「うーん……」
師匠にそう言われて、少し考える……が、やっぱり彼を表すにはこの一言が全てだろう。
「やはり、可能性の化け物ですね。ミストルティンの弾丸を六発で見切られましたし」
「わあお。それは凄いね。強化学習体……思っているよりも強いね」
「えぇ。しかも、自前の魔力だけでミストルティンの魔術刻印まで再現しようとしていたので……あいつは、永遠に成長期ですよ」
「それはそれは……少し、鍛えるのが楽しみになってきたかも。遠慮なくやっちゃっていいんだよね?」
「もちろんです。コテンパンにしてやってください」
今日、ユウラシアには頂点というものを経験してもらう。それが、ユウラシアの大きな糧となることを確信している。
多分だけど、明日から俺はユウラシアには勝てなくなるんだろうな。瞬殺されそう。
俺と師匠の戦力差だが……そうだな、師匠が100だとするなら、俺は5くらい?んで、今日ユウラシアは師匠の動きを吸収するわけで、一気に40くらいまでは成長するだろう。
いやぁ、マジでチートだな。本音を言うと羨ましい。
それくらいの力があれば、俺はしっかりとリオーネを守りきって、その先も少しは生きていけるという選択肢もあったのだろうが。
ワープ装置に乗り、ユウラシアが待つ第六訓練所へ。昨日の件は、上手くエイリ先生が結界装置のメンテナンスだと誤魔化してくれたらしく、今日もそのメンテナンスを行うと嘘情報を流してくれている。そのため、今日も貸切だ。ありがとうエイリ先生。
明日にお礼のものでも持っていこうかな。何が好きかは知らんけど、お菓子でも持っていこう。
ワープが完了し、地上部分の訓練場に入ると、そこには既にユウラシアが待機────?
「何故いる……?」
「ありゃ、知らない子だね」
そこには何故か、ユウラシアの想い人であるテレジアが居たのであった。
おかしいな。今日のことはユウラシアにしか伝えてないし、観客は誰も呼ぶ気は無かったのだが。
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いよいよカクヨムの祭典、カクヨムコンが始まりましたね。
ちなみに、この作品はエントリーしません。短編に一つだけ投稿する予定なので、投稿した際は応援よろしくお願いします。
( 。∀ ゚)しらす
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