第4話

「聞いたかっ!?我ら一年が誇るSランク同士が模擬戦をするらしい!」


「あぁ!上の学年はどっちが勝つか賭けが始まってるらしいぞ!」


 ワイワイガヤガヤ。次の日の学園は、喧騒に満ちており、そこかしこで俺が昨日ユウラシアと交わした約束の話が飛び交っている。


「さすがに、噂になっていますね」


「タダでさえ、この学園は人数が多いからな。どこかで誰かが聞いていてもおかしくは無い」


 まぁ、それでも一晩でこの広がり様はおかしいと思うが。更に、上級生までなんかこれにかこつけて賭けまで始まってるらしいし。


 もちろん、先手は打ってますけどね。


「あぁお前たち。放課後行われるアークとワーグナーの模擬戦だが、観戦は禁止だ」


「「「「「「ええええええええ!!!!!」」」」」」


 朝のホームルームで、担任の先生から告げられた言葉により、そこかしこで声が響いたそうな。






「アークさん!なんで観戦ダメなんすか!」


「見せもんじゃねぇからに決まってんだろ」


「そこをなんとか頼むよアーク~」


「無理なもんは無理」


「聖者様~!」


「オイ誰だ今聖者って言ったやつ。表出ろコラ」


 休み時間になった途端、ワラワラとアーク様の席に群がっていくクラスメイト達。このままだと、楽しくお喋りも出来ないので仕方なく────ほんとーに仕方なく、静かに席を立つ。


 一瞬、アーク様と目が合い、軽く目礼をして廊下へと出る前に、もう一度軽くアーク様を見る。


 この調子だと、放課後まではアーク様との時間は減りそうである。少し……いや、かなり寂しい。


「リオーネさーん」


「おーい」


「?」


 小声で私の名前を呼ぶ声が聞こえたので、その方向を見ると、最近よく見慣れるようになった紫髪と、オレンジ髪。


 ちょいちょい、とレイルさんが手招きをしているので、そちらに方向に足を進めた。


「おはようございますリオーネさん」


「おはようリオーネさん。朝から大変じゃない?」


「おはようございますお二人とも。私よりも、どちらかと言えばアーク様の方が大変なんですが……」


 シアン・カルベニクさんと、レイル・ヘイルバーンさん。アーク様以外にも、堂々と仲がいいと言える、友達の二人。


「ユウラシアさんとの模擬戦。物凄い噂になってますもんね」


「ちなみにだけど、オッズは知名度の差でアークくんの方が低いね。クラスメイトが言ってた」


「そうなんですか」


「あれ、倍率とかあんまり気にしない感じ?」


「まぁ……そうですね。どうでもいいです」


 私にとって大事なのは、アーク様と共にいること。そんな有象無象がやることについて興味は無い。


 本当のところ、アーク様があの人と模擬戦をやることすら反対なのだ。


 ────そんな暇があるのなら、もっと私に構って欲しい。







「よっしやるぞー」


「うん。よろしくね、アークくん」


 そして放課後。俺達の姿は第三────ではなく、第六訓練所にあった。



 もちろん、第三というのはブラフであり、事前にユウラシアにはメールを送っていた。今頃、第三訓練所には、いない俺らの姿をたくさんの生徒たちが探し回っているだろう。


 訓練しろよ。


 本当なら、マジでこの模擬戦は誰にも見せる予定は無かったのだが────まぁ、リオーネに懇願されたので、声を掛けた人だけ観戦をOKにした。


 観戦人数は六人。リオーネ、シアン、レイル、ラグネル、テレジア、そしてエイリ先生。


 前者五人は分かるのだが、エイリ先生も俺がどのようなことをするのか気になったらしい。あんまり人にオススメ出来ない────というか、ユウラシアにしか出来ない方法を取るつもりなのだから。


「それじゃ、そろそろやるぞ────と、言いたいところだが」


「?」


「まぁ、このままやってもユウラシアが手も足も出ないで負けることは明らかだ」


「……うん、そうだね。それは何となく分かるかも」


 そもそも、ユウラシアはまず俺の愛銃の弾を避けれなきゃ模擬戦にもならない。


 だから、まずは────


「準備運動だ。この銃弾を避けれるように、学習しろ。次代の英雄」


 ────それすらできなければ、お前はこの先、生き残ることが出来ないぞ?





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昨日は皆さん、たくさんのお星とお祝いの言葉をありがとうございます。ですが、今日は私の誕生日二日目(((((((((殴


冗談です。大人しくジャパンカップの予想してきます。まぁもう買うのは決めてるんですけどね。

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