第13話

 ────五年前。度重なる襲撃に、遂にブチ切れた当時俺11歳。師匠たち含む『聖者教団潰したい人この指とまれ』で集まったAランク以上の隊員計30名でアジトに殴り込みを行った。


 最後まで戦う意志を見せた者は殺し、戦意喪失し、気力を失ったものはとりあえずちょいきつめのぐるぐる巻きで放置。500人以上の団員を確保、又は殺害したのだが厄介だったのは『使徒』と呼ばれる序列持ちの奴らだった。


 使徒は八名おり、リーダーの女神は俺がこの手で直接コテンパンにして投降させたので生きているが、目の前にいるコイツ以外は最後まで抵抗して死んだ。


 しかし、こいつは予め逃走経路を仕組んでいたのか、自分だけ逃げた。


 教団で一番武力があるといっても、元Aランクで、年齢的に見ても多少は衰えがある。そうそうに不利を悟ったんだろう。


 暫くは警戒していたが、なんの音沙汰もなく、足取りも掴めなかったので、どこかでのたれ死んでいると思ったんだがな。


「あなたには、私一人では敵いそうにないので────私が鍛えあげた最高戦力を全てここに持ってきました………が」


「温いな。その程度か?」


 奴が話している間にも、四方八方から銃弾が飛んできたが、俺の魔法により、全て空中で一回止まったあと地面へと落ちる。


「いえ、想定内です────数はこちらの方が有利ですからね。圧し潰しなさい」


「ふぅ……」


 ボキボキ、と首を曲げて骨を鳴らす。そして、右手を上げて俺に肉弾戦をしかけてきた奴にスナイパーライフルを叩きつけた。


「ゴハッ!?」


「一人目」


 俺の対人での本当の戦闘スタイルは、二丁流である。


 ……二刀流ではない。スナイパーライフル二丁で近接戦を行う二丁流である。


『スナイパーライフルはいいものよ!至近距離で撃てばまず外さないし、遠距離の敵にも対応できるし、何よりも鈍器になる!』


『そんな使い方できるのはゴリラ力のお前だけだろ』


『フンっ!』


『ほげふ!?』


 俺の師匠の一人が、正しくこの二丁流の使い手であり、この人に俺は戦闘術のいろはを教えられた。


「五人目」


「アガッ!?」


 ワラワラワラと、巣穴から出てくる蟻みたいに、絶え間なく襲ってくる教団の連中を叩き飛ばす。


「クソっ!そのスナイパーライフルおかしいだろ!なんで剣で切れねぇん────グワッ!?」


「逃げんなって。安心しろよ、ちゃんと一人ずつ相手してやっから」


 右のスナイパーライフルからは炎が、左のスナイパーライフルからは激しく電撃が迸る。


『夫婦銃ゲイ・ジャルク&ゲイ・ボウ』。二丁の、全長約2m程の対人スナイパーライフルだ。


 この銃にはもちろんの事魔法陣が万以上刻印されてるのだが、ミストルティンと違い、あまり硬化の魔法は無い。


 右のゲイ・ジャルクには、主に人体を怪我させるもの。左のゲイ・ボウには、主に精神に影響を与えるもの。その魔法が銃本体にも、弾丸にも刻印されている。


 前世死んだ時期の覇権アニメふうに言うのなら、『人を殺す銃』と言ったところか。


 ぶっちゃけ、これが本当に銃であるかどうか議論を挟みたいところではあるが────弾撃てるんなら銃だろ。


「お、俺たちは破戒僧様に鍛えられた一流の戦士だぞ!な、なんでこんなスナイパーライフル如きに────」


「────スナイパーライフルはいいぞ狂信者共」


「ぐわぁぁ!!」


 剣をいなし、そのまま体を少し掠めさせる。それだけで、刻印された魔法が発動し、ソイツの体が燃えた。


「至近距離ではまず発砲すれば当たるし、遠くにいるヤツにも弾を当てることが出来る」


 離れたとこから、ちまちまと隙間を縫うように狙撃していたヤツに一瞬で照準をつけ発射。そしてそのまま左から殴りかかってくるやつに一発。


「そして何より、鈍器としても非常に優秀だ。殴打」


「ガフっ」


「突き」


「ゲホッ……」


「そしてなぎ払い」


「アバッ……!」


「そこら辺の武器よりも、非常に使い勝手がいい────逃げんなよ」


「いっっ……!あ、足が……っ!」


 スナイパーライフルの魅力を説明している間に、みるみる内に減っていく狂信者を見て顔を青くしていく破戒僧。俺に背中を見せ、逃げようとしたので足を撃った。ついでに神経にも傷を付けさせて貰った。


 歳を取ったからか知らないが、小物だな。こいつも。


「お前は最後だ────全員殺した後、じっくり嬲り殺してやる」








「158……これで最後か」


 あれから、淡々と狂信者達を殺していき158人殺したところで破戒僧以外の気配は完全にしなくなった。


「これで、残りはお前だけだな破戒僧」


「ぁ……理想が……我らの理念が……」


 足の神経を遮断しても無様に逃げようとしたため、一歩も動けないように両手の神経も遮断した。


 後頭部に、ゆっくりと銃口を向ける。これで、長きに渡った聖者教団との因縁も終わる。


「────少し、待ってくださいませんか?アークさん」


 引き金を引こうとした瞬間、俺の名前が呼ばれた。


「私に少し、話をさせて下さい」


 そこに居たのは、かつて聖者教団を導き、俺を現人神へと押し上げようと画作した、元聖者教団序列一位────


「アルテラ」


 ────アルテラ・セタンタがそこにいた。




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スナイパーライフルを語る際のイメージは、スタイリッシュ某漢スレイヤーを参考にして下さい


P.S

星評価500突破しました!ありがとうございます!

でも、もっと欲しいです!!!!(クソデカボイス)

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